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第二特集

コメ先物、本上場せよ


農業経営における先物の意味について岐阜県大垣市の農業者Fは、「企業や卸にとってリスク回避のために必要。取引の大きい経営ほど必要ではないでしょうか」と主張。ただ、農業者はリスク回避のことばかりを考えていると、そちらに力が入ってしまい、肝心な生産がおろそかになってしまうことになる可能性もある。そういう意味では、農業者の場合、先物の管理がしっかりできることなど経営の中での位置づけがきちんとしてればいいのではないか」とした。栃木県小山市の農業者Gは、「単純にリスクヘッジ。むやみに売り先を増やすのは難しいが、先物でのリスクヘッジなら実際の売買はこれまでどおりでも大丈夫だから」と語る。

【農家理解の促進が普及のカギ】

今回、聞き取りをした稲作経営者たちからは、「米は食糧、一般消費財とは違う」など先物を否定する声もあった。ただ、半数以上はその必要性を認めている。
では、なぜ先物を利用する農業者は少ないのか? 前出の農業者Eは、「システムを正しく理解していないから。たとえば、輸送の運賃は誰が持つのか、現物はいつ渡すのかなどといったことがわからない。それにいままでは秋の価格が高かったから」と見ている。しかし、今後は米価が下がることが予想されているので、先物に参加して経営を安定させたいという。また、30ページで紹介しているように大阪堂島商品取引所が先物市場の勉強会を開催しているので、そうした機会を積極的に利用したいところだ。
とはいえ、先物市場はあくまでもリスクヘッジの一手段に過ぎない。低米価や農協改革などを受け、今年からコメの構造改革が進むことが予想される中、稲作経営者たちはほかにどのようなリスクヘッジを考えているのか。前出の農業者Dは、「ある1人の田んぼの圃場があちこちに分散するのは、水害対策であったということですが、同じ意味で、先手を打って育苗などを分散する形にしています。今年は特に超遅出し野菜類の育苗に苦労しました。例年にない失敗の連続でしたね」と語る。同じく前出の農業者Aは、「生産原価の分析、農地の面的集積、農業情報の取得分析」にあるという。このほか、計画的な直販、販売先の多元化、経営の多角化、複合経営、独自の農産物づくりなどの回答があった。

座談会
コメ先物市場は
コメの産業インフラに
なりうるか

8月初め、「コメ先物市場はコメの産業インフラになりうるか」をテーマに東京都内で座談会を開いた。米穀新聞社の熊野孝文記者を進行役に、新潟ゆうきの佐藤正志社長、千田みずほの千田久法社長、本誌編集長の昆吉則が語り合った。

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