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第二特集

コメ先物、本上場せよ


昆 そうなると高い地代が固定化しかねないですよね。
佐藤 そのとおりです。だから、適正な価格を設定しておかないといけません。ところが、そういったことを他の生産者はまったく考えていません。
昆 そうなんです。だから、ハードランディングが起きない限り、地代なんて下がらないんですよ。
佐藤 それに主食用米の国内需要は減るんですから、海外市場を開拓すべきだろうというのが私の意見なんです。そのためにクボタグループを通じて130tを輸出する段取りを進めています。昨年、政府備蓄米に120tをエントリーして、今年はプラスアルファで予定していたんです。ところが、政府備蓄米は全農が独占しました。そうなると入る余地がありません。加工用米のうるちは価格が安い。そうしたときに輸出のお誘いをいただいていて、おまけに政府備蓄米と同じ価格帯だったので輸出に動いたんです。
熊野 先物は安いときには8530円になりましたよね。あれは佐藤さんが輸出しているコメより安いんではないですか?
佐藤 ええ。
熊野 そうしたら先物を買って輸出することも可能なわけですよね。
佐藤 おっしゃるとおりです。
熊野 先物は活用しているんですか?
佐藤 いいえ。自分たちで生産と集荷するものが先物を通さなくても売り口があるものですから。

【自由な市場にせよ】

熊野 先物について一つ言いたいのは、一般投資家は自己責任でやるということです。先物市場に参加するのはリスクがある、自分の金を預けるわけですから。
昆 それは、農家ではなく、投資家にとってですよね?
熊野 ええ、そうです。もう一つ言いたいのは日本の取引所の甘さです。ストップ高が続くと「解け合い」をやるんです。解け合いというのは、要は売り手と買い手の玉がこれ以上に上がると収拾つかなくなるというんで、消しちゃうんです。ロンドンの先物で30年ほど前に粗糖が27倍になりましたけど、向こうは解け合いをしないんですね。さすがアングロ・サクソンだなと感じました。日本の先物市場はもっと自由になって、完全な自己責任でやらないと発展はないですよ。
昆 自由にしないとジャポニカ米の指標にならないですよね。ですけど、それは投資家の問題であって、生産者の立場は違うわけですね。
千田 3年前に先物を試験上場したとき、私は国にこんなお願いをしたんです。つまり、コメが余れば買い上げる、足りなくなれば放出する、そういうことは絶対にやらないでくれと。我々には商売をするうえでの基本フレームがあって、今年はこれだけコメが収穫できたので先安だなっていうのは、自然体であれば予測がつくんですね。それに基づいて先物を考える。でも、国が買い上げるという外部的因が加わって需給や価格の変動が起きると、まったく予想が立たなくなるんです。25年産で35万tを隔離する話が昨年秋から出ていました。そのときに農水省が言ったことは、全米販からも隔離の要望が挙がっていると。つまり、オタクのお仲間の中にもそれを望んでいる業者がいるっていうんで愕然としたわけです。ただ、今年春まで35万tの隔離は見送られ、いまだに決まらないまま来ています。これはいい方向だし、このままいけば先物は機能するはずです。過去2年間の試験上場で先物が振るわなかったのは、国が関与しすぎたからではないでしょうか。

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