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【土壌別経営診断うちの土ではどう作る?】
金子誠良さん(愛知県渥美郡)の場合
- 農業コンサルタント 関祐二
- 第6回 1996年06月01日
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水と肥料成分をいかにコントロールするか
関 ここの地区の基盤整備事業は、実は今年の3月にたまたまここを通りかかって見せてもらっていたんですよ。やはりこの事業の大きさには圧倒されますね。基盤整備事業の対象となっている土地の面積はどれぐらいなんですか。
金子 計画面積は65haで、そのうち農地となるのは55haです。
関 事業に参加したのは、ここの何割ぐらいの人たちなんですか。
金子 ここはおよそ200戸ありますが、ほとんどの人が農家で、みんなやる気で取り組んでいます。山林としてそのままにしておいてほしいという人が2~3人と、面積がわずかで処分してしまってほしいという人が若干いた他は、大部分の人が参加に同意しています。
関 工事のほうはスムーズに進んでいるんですか。
金子 まだ半分、20haほどができた段階です。しかし、ここは岩盤がないので工事には支障はないですね。
関 3月に見せてもらった時はちょうど雨あがりだったんですが、一部排水の悪いところも見受けました。そのへんの問題はどうですか。
金子 やっぱりこういうものは、工事の後2~3年は、実際どうなっていくかわからないですね。それよりも、この一帯は慢性的に水がなくて困っているんです。去年はとくにひどかった。だから、いまはむしろ、湿害の問題よりも、土壌がやせていることのほうがはるかに問題なんです。
関 このような開墾地でアブラナ科の作物を作っていると、水分不足が即、ホウ素欠乏やカルシウム欠乏ということになるでしょう。
金子 そうですね。水があるときは根傷みがなく、値段も平均していい。カルシウム欠乏は、たしかに新しい圃場では出やすいですね。しかしキャベツでは普通は出ないです。顕著なのはハクサイで、それでハクサイは新しい圃場では作らないで、いいところで作るんです。その場合もカルシウムの葉面散布はやります。
関 濯水の方法はどのようにしているんですか。
金子 スプリンクラーです。
関 設備は各自で負担するわけですか。
金子 本管と立ち上がりまでは基盤整備事業でまかなわれます。その先は各自でということですね。
関 点滴濯漑は考えていませんか。
金子 いいえ。目詰まりが心配で。
関 いまはかなりいいものが出ています。私はそれを使って、単なる水分補給ではなく、液肥を用いて溶液上耕的に畑作に取り組む人が、これから伸びてくるとにらんでいます。試されるといいと思いますよ。土壌改良としては、どんなことをしていますか。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
土壌別経営診断うちの土ではどう作る?
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