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紀平真理子のオランダ通信

オランダの農業政策(後編)

2014年以降のCAP政策

EUは13年6月、これまでとは異なる、14~20年にかけてのCAP――EUの共通農業政策。具体的には60年に始まったEU域内での農業補助に関する政策のこと――の基本合意に達した。従来の生産割当制度や市場介入措置、所得補償を軸にしてきた政策からグリーン化と市場志向、新技術が中心となる。
これを受けてオランダでは国レベルのグリーン化措置が導入された。同国が14~20年の期間にEUから農業向けに配分される資金は合計約60億ユーロ(当時のレートで約7721億円)で、そのうち54億ユーロ(同約6949億円)は直接支払い向け、6億ユーロ(同772億円)は農村開発向けの予定だ。農業者は、3つの標準的なグリーン化措置――輪作、草地の維持、価値のある景観の管理――、もしくは農業保全、その他代替措置を通じたグリーン化を選べ、認可された有機農場もグリーン化奨励金の対象になる。また、農業者の協同組合によるグリーン化措置の共同実施も含まれているため、協同組合は地域の堤防を共同で管理・維持に取り組めるようになり、管理の質が高くなることが期待されている。
EUは今回、生産制限措置を廃止することでも合意に達している。生乳の生産割当制度は15年に、砂糖については17年にそれぞれ廃止される見込みだ。結果として、生産割当制度による補助金が農業政策から姿を消すことになる。
オランダは農産物輸出国であるため、この輸出制限の撤廃が経済に良い刺激を与えることを期待している。今後、農業者や農産物関連会社は市場動向への迅速な対応と、革新的な技術やアイデアが必要なより厳しい競争社会になることが予想される。しかし一方で、農業者の高齢化に関して政府は若年層の農業者への財政支援を行なう。

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