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実践講座:したたかな農業を目指す経営管理 入るを計り出を制す!

土づくり其ノ二 異常気象に負けない、湿害に備える機械投資

異常気象をどう捉えるのか

農業者はいつも自然・気象と向き合い、天気予測を欠かさない。現代は気象衛星、衛星レーダー、リモートセンシング等の技術が確立し、天候変化の予測、観測・解析技術は著しく進歩を遂げた。情報の伝達も迅速で、防災技術の発展と相まって農業分野の被害軽減にも貢献している。一方で残念なことは、農業者の観天望気など本能的な予測能力が減退していることだ。
30年の統計を基準に、著しい天候の偏りを「異常気象」と呼ぶ。特に最近20年間で、気象災害の原因が台風よりも集中豪雨となりつつあるという。テクノロジーを駆使した現代農業に挑戦するかのように、毎年のように異常気象は発生している。
もう7、8年前になる。農業気象予測システムの協力で気象協会の方と仕事をしたときに、とあるJA青年部に講演会で招かれた。私の演題は「異常気象に負けない経営管理」だった。うろ覚えだが、「湿害は人災」と話したことを思い出す。
干ばつについてはお天道様に祈るしかない。しかし、湿害は努力で被害軽減が可能である。今回は異常気象の中でも近年多く見られる「湿害に備える」をテーマとし、土づくり作業機の導入への心構えについて考えてみたい。

耕盤層は百害あって一利なし

作物が健全に生育していくためには、作物それぞれに適した「適度な水分」の保持が欠かせない。降雨により水分が過剰となればいち早く排水しないと、作物の根は傷み、病害虫の発生を助長するばかりではなく、除草のタイミングも失う。
図1、図2は降雨により水が停滞してしまった圃場とその土壌断面を示したものである。普及員時代、多くの土壌断面調査と土壌分析と、その現地で土づくり作業機の実演やその効果確認を行なったが、ある圃場ではサブソイラの刃が変形して壊れたことがあった。その圃場の持ち主に尋ねると「20年以上ロータリーしか使ったことがない」という。
トラクターによる耕うんが始まり、作業能率は飛躍的に向上したが、土壌を踏み固めてしまうことが多くなった。またロータリー耕は鉈の刃が高速に回転するときに、土壌を叩きつけるため、耕起した下に耕盤層を形成してしまう。
耕盤層は、雨が降れば排水を阻害し、干ばつ時には毛細管現象による下層土からの水分の移行を著しく妨げる。加えて、根の伸張を阻害してしまう。一般的に作物の背丈の3倍は、地下に根が伸びていくと言われる。根は作物を支え、水分と同時に養分を吸い上げ、収穫の後には腐食しながら下層土に留まって空気や養分を運ぶ道の役目を果たす。作物にしてみれば、耕盤層は百害あって一利なしである。

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