ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

小川幸夫の虫の世界から見る農業

臭くないカメムシ!?


臭くても天敵は存在

カメムシは幼虫から成虫にかけて動きも早く、においも臭いため、天敵が少ないのではないかと思ってしまう。実際、カメムシの成虫を食べる虫といえば、カマキリやクモ、ムシヒキアブ、成虫に寄生するのがマルボシハナバエなどで人間の目で確認できるものは数少ない。
しかし、カメムシの卵は1カ所にまとめて並べて産み付けられることから、硬いながらもかなり無防備だ。この硬いカメムシの卵に自分たちの卵を産み付ける蜂たちがいる。カメムシタマゴトビコバチやチャバネクロタマゴバチなどクロタマゴバチ類がそれに当たり、カメムシの卵に寄生する。カメムシは、この卵の段階で数が調整されていると思われる。

吸血鬼のような益虫カメムシ

畑には害虫のカメムシ以外に、肉食の益虫カメムシがいる。大きさは小さいものから大きなものまで、食べる対象もさまざまだ。まるで吸血鬼のように他の昆虫にストローを刺して吸汁する。そのほとんどは小さくあまり気づかないが、害虫の数を調整してくれる存在になっている。なかには生物農薬として販売されているものもあり、研究されているものも多々ある。

ヒメハナカメムシ
タイリクヒメハナカメムシは天敵農薬としても販売されている。小さい害虫を刺しては吸汁して殺してくれる。オクラやズッキーニの花でよく見かけるのは、花の中にいるスリップス(アザミウマ)を食べているからだ。
しかし、扱いには注意を要する。人間の腕などにくっつくと、ブスッと肌にストローを刺す。見た目は小さくとも、刺されると非常に痛い。
ちなみに、この種類だけでも日本で約40種確認されている。

オオメカメムシ
オオメカメムシはその名のとおり、とても目が大きく、クリクリしていてかわいいカメムシだ。大きさはヒメハナカメムシより大きく、普通の害虫カメムシより小さいのだが、動きはヒメハナカメムシと同じようにすばしっこい。
筆者の畑では年に数匹見かけるだけだったものの、昨年は大量にハウス内で繁殖しているのを確認できた。生物農薬のような具合でこのまま畑に定着すれば助かるのは、ヒメハナカメムシより大きいことで食べる害虫の範囲も広いからだ。天敵農薬として期待され、研究されている。

カメムシの種類は非常に多く、ここで挙げた益虫のカメムシの種類はほんの一部に過ぎない。また、カスミカメやクチブトカメムシは肉食でありながら、植物を吸汁するものがある。こうなると害虫とも益虫とも分けづらくなるのだが、雑食性のカメムシほど大事だと筆者は考える。草食性と肉食性のカメムシだけでは数のバランスを取ることは難しい。さまざまな種類が同時的に存在することが最も望ましい。

関連記事

powered by weblio