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岡本信一の科学する農業

収益の上がる生産効率化とは


外部のコンサルタントやアドバイザーからはこの部分が実は見えていない。理由は簡単で彼らには圃場の状態の善し悪しがわからないからである。外部の生産工程を効率化するプロの意見に耳を貸すにしても、絶対に譲れない工程、絶対に手を抜いてはならないという工程がわかっている方は心配がない。しかし、それがわかっていないと、大事な作業が単なる手抜きになってしまうのだ。
つまり一つ一つの工程を考え、重要性を加味しつつ生産効率の向上を図らないと逆効果になるということである。

作物の出来と効率的な作業
どちらを重要視するのか?

実際、私から見ても収益の差というのは生産の効率化をどのように考えているのかによって、経営の良し悪しが決まっているといってもいい。栽培する作物の出来を中心に考えているのか、無駄を省いて効率的に作業を進めることを中心に考えているのか、どちらを重要視しているかによって大きな違いができる。
自動化にも同様のことが言える。多くの方は、自動化というと省力の手段と考えているようだ。私はあまりそのようには考えていない。誰が操作をしても同じようにきちんとした管理を行なうために導入するものだと理解している。
トラクターの自動化は自動操舵装置によって、だいぶ進化している。従来は優秀なオペレーターでないと正確な作業ができなかったものが、そこまで優秀なオペレーターでなくても、傾斜圃場で高精度なうね切り作業が可能になった。これは、雇用の効率化から考えると非常に大きな意味がある。また、施設栽培でも灌水、温度管理の自動制御システムというのは、人間が付きっきりで行なうよりもより正確に細かにできると、私も評価している。
肝心なのはこのような高機能な機器を導入したからといって、収益の上がる効率化が実現できるとは限らないという点である。基本的な方向性が間違っていると、導入効果も全く違うものになり得るからだ。
大規模化を図る場合に、導入する機器や雇用の拡大に気を取られ、それらを効率的に利用することを優先しがちになるが、あくまでも主役は圃場に植わっている作物であり、それが疎かになるようなことを考えてはならない。この観点の違いが経営上の分岐点になっているのだ。

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