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今年の市場相場を読む

底堅いイモ類でも変わる需要構造 サトイモ/ナガイモ/サツマイモ/ジャガイモ類 

イモ類は、生鮮野菜とは異なり、貯蔵性があって出荷が調整できることもあり、比較的安定供給されている。一方、消費者でもある程度は買い置きしながら利用するため、安定した消費構造だといえる。流通では底堅い動きをするというのが定説だ。生産されただけ出荷されれば、それなりに需要の奥行きはあるものの、生産者の老齢化や労力不足などで漸減してもあまり混乱はない。しかし、品目によっては新品種が登場したり、機能性が話題になったりすることで動きが変わるものもある。イモ類はこの20年間という長い期間でどんな動きを見せたのだろうか。生産・出荷に変化はあったのか?
サトイモ
夏場は激減して20年で入荷半減、国産の生鮮品の価値訴求で拡大を

【概況】
東京市場のサトイモの入荷を1993年対2013年で見ると、数量全体でほぼ半減したうえに単価も23%安くなっている。主産地だった千葉は3分の1に減り、いまや埼玉が4割のシェアでトップに立つ。夏場の落ち込みが著しく、かつての3割程度しか入荷していない。したがって、早出し産地の鹿児島は凋落し、宮崎も全体の1割程度に過ぎない。いまでも秋から年内は入荷が増えているが、年明けには半減してしまう。
【背景】
平成に入ったころから漸減傾向を示し、代わって中国産の輸入が増えてきた。同国産の市場入荷は03年ごろに全体の1割以上を占めていたが、現在では5%程度にとどまる。輸入量も5000t程度になっている。ところが、冷凍品は4万t近くが輸入されているのだ。輸入の調理品に使われているサトイモはさらに1万t以上あるといわれ、加工業務用は中国産が圧倒している一方、市場流通する小売用は激減している状況にある。
【今後の対応】
入荷量が半減したといっても、消費者がサトイモを食べなくなったわけではない。煮物や汁物ではまだ圧倒的な支持があり、東北地方などのサトイモ食文化は健在だ。しかし、少なくとも生鮮品で購入して調理する機会は減った。業需用に加えて家庭でも、安くて手ごろなむきサトイモの水煮などを活用することが増えた。各地で水田転作型のサトイモ生産は徐々に増えつつあるが、「国産の生鮮」の付加価値をどう訴求するかがポイントだ。

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