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なぜそういう事業をやるかというと、この事業の責任者の一人である高知大学副学長の受田浩之教授が言っていたんですが、たとえば高知はカツオが取れるけれども、実は鰹節とかにする二次加工メーカーが弱い。そのために県外に安値で出ていってしまう。しかし、加工技術と拠点があれば、一次産品に付加価値を付けて高く売れるからと。
もちろん、作ったものを売るための力、つまり、マーケティングに関する知識も必要になる。そのために教育システムがいるんだということです。
昆 そこに気づいて動けていないというのは、まさに日本の農業全体の欠点だと思います。言われた通りに原料を出荷するだけで、加工まで考えが及んでいない。新しい商材を開発するという発想もない。そこで急に六次産業化などと言い出しても、やるべきことがわからないわけです。
何と言っても、コンシュマー向け商品を扱ったことがない人が、いきなりそれを自前で用意するということに無理がある。加工メーカーなどしかるべきパートナーを見つけて協働することが大切なはずです。だとすれば、まずパートナーが何を望んでいるかを知らなければいけないはずです。
小川 我々としては、とにかく安定供給していただかないと、全くお付き合いできない。「うちはこれが春先に2tはできますよ」と言われても困るわけです。いつ頼んでも我々が必要な数を揃えてくれるという、そういう業者さんが今現実にいて、たとえばこうやって粉末化して持ってらっしゃる。
値段は高くたって構わないんです。何しろ、今はすべての材料について国産でトレーサビリティがとれていてということを要求されるお客さんが、結構多いので。
ですから、年間を通して安定的に、ほぼこのコストの中で供給ができるという体制をとっていただけることが第一です。
それから、一次産品だから大きさや成分にばらつきがあって当たり前だよね、原料として使うのであればこれでいいよね、という風に思っている方がいるかもしれませんが、それは許されません。ある規格の中に収まらないと、結局製造現場ではロスが出てくることになるので。だから、仮に未利用資源を活用するのだとしても、余ったものを何かお金に変えられないかという甘い考えでは困ります。
昆 未利用資源でも、利用するからには製品ですから、原材料として品質管理されていなければいけませんね。従来、日本で農産物の加工品といえば木から落ちたリンゴやミカンをジュースにするという発想でした。しかし、これはカルビーの松尾さんが常々言うことですが、「最高のワイン産地というのは最高のブドウ産地なんだ」ということですね。
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