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特別インタビュー企画

真っ当な経営が“駄農”を退場させる!勝部農場のゆめちから戦略に込めた狙い


勝部 それからもう一つ。札幌に銀座屋という製パン店がある。ここは学校給食のパンを作っていたんだけれども、息子の代になったときに値下げ要求に応えず、きっぱり断ってしまった。だから、品質重視でありながら量を作る能力も持っている。それを知っていたので持ち込んで頼んでみたら、おもしろいと言ってくれた。
それをある年の連休に、札幌―釧路間の特急の車内販売でも売ってもらった。3日間限定だったんだけれども、そのパンがうまいという評判を聞いて買うのを楽しみにしていたお客さんが、後日列車に乗ってみたらそのパンを売っていないというのでJRに苦情が来たという。それで慌てて販売期間を伸ばした。それくらい支持される商品ができたわけです。

昆 ユーザーの反応を慎重に見極めるのはわかりますが、そこまで念入りにするのはなぜですか。
勝部 試験だけではなく、ある段階からは本格的な普及を考える必要もある。普及というのは、作るほうで勝手に普及しても、買う人たちのほうに普及して売るものになってくれなければ意味がない。だから、消費者やマスコミへの働きかけも大事なことです。
それと、食べた人からはこれだけいい評価が出るんだけれども、北海道最大の集荷団体というのが、ゆめちからの普及に大反対なんだ。そこを考える必要もある。

昆 どうしてホクレンは、ゆめちからの普及に反対するんでしょうね。
宮井 ホクレンにとっては従来のハルユタカが大事なんですよ。ところが、ハルユタカよりも収益性のよいゆめちからが出てくると生産者はそっちへ動いちゃう。それを抑えたいわけです。
もう5年前ですがね、ゆめちからに携わっているあるキーパーソンに、なぜ、ゆめちからが北海道の奨励品種にならないんですかと聞いたんですよ。はっきりおっしゃったのは「ホクレンに邪魔されました」ということです。「でも、奨励品種はホクレンが決めるわけじゃないでしょう」と聞いたら、「ホクレンと北海道農政部は組んでいますから」と。

勝部 そんな相手と真っ正面からぶつかっても埒があかない。それよりも、彼らの一番弱いところを突くのが正解です。ゆめちからのパンが人気だ、お客さんはもっと作れと言っている、そうなれば、さすがの北海道最大の集荷団体と言えども、もうブレーキはかけられないはずだと。 結局、交付金が付いたのは5年目の昨年からです。

単価が下がるから
取り組む価値が増す

昆 しかし、ゆめちからの登場というのは、北海道の麦作にとっては、大変大きなメリットのあることでしょう。その後、(株)敷島製パン(PASCO)が品種名を前面に打ったパンを全国商品として売り出しています。今までマーケットが望む品種、しかも大手製パンメーカーがそこまで力を入れる商品なんていうものはほとんどなかったわけですから、これは日本の小麦の可能性を大きく開いたということでしょう。

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