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シリーズ水田農業イノベーション

実況中継!!全国の乾田直播 2014年度編


圃場の前では「草が多くて、すみません」と苦笑いを浮かべるが、作業効率の改善がひと段落し、次年度の課題が見えたと既に気持ちは来年に向いていた。

【山陰では2~3kg/10aが妥当】

鳥取県に移動して1日目の最後に訪れたのは田中農場の圃場である。いずれも品種はコシヒカリで、播種量は10a当たりバーチカルハローで3.5kg、1粒点播(薄い条播)で1.2kg、3粒点播で1.2kgで試験している。昨年は1粒点播(播種量400g/10a)で10a当たりの収量が360kgだったことを踏まえての判断とのこと。乾田直播の挑戦を始めて10年以上が経過し、草をある程度は抑えられる除草体系を確立している印象を受けた。
翌日に訪れた藪内農場では、播種量は10a当たり2.5kg(姫ごのみ)、3.6kg(山田錦)を不耕起播種機(アグリテクノ矢崎製 NSV-600)で播いた。
ここでは草対策の他に、同じ圃場での品種切り替え時に発生する問題が提起された。用途が同じなら出荷時にも問題になりにくいが、出穂時期が近いもの、早生から晩生への切り替えなどは極力避けたい。薮内氏は乾田直播でトリヒメ(酒米)→キヌムスメ(うるち米)→(酒米)と品種を切り替えた。自然落下やコンバインからの落穂が翌年発芽する。効果的なのは一度代かきをして、種を埋没させる方法だが、薬剤処理など、解決方法を模索している。
最後に一行は、アグリファクトリーを経由して、島根県松江市へ。(株)カンドーファームの田尻一輝氏の圃場では、コシヒカリを10a当たり3.9kgの播種量で播いた。松江市は宍道湖や海の近くに立地するため、島と同じで水が自由に得られないというハンデを抱えている。レベラー作業後に約10m間隔で溝を掘ることで、少ない水量で隅々まで早く水が走る。入水時間が減り、水が有効利用できたという。
視察した先は、圃場毎に気象や水利、区画の条件は全く異なる。ツアー後に田中正保氏は「乾田直播はコメづくりとしてだけでなく、農地の扱い方やコスト、収量、品質に加え、これまでの移植体系のコメに負けないという考え方でマスターしたい」と今後への期待を述べた。

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