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紀平真理子のオランダ通信

経営者が女性のHollandhoeve農場訪問記


牛はIDが埋め込まれたネックレスを身に付けており、それぞれの搾乳量、授乳日数、搾乳にかかった時間、生乳の品質がアプリ上で確認できる。何かトラブルが発生した場合でも、即座に「どの牛が」「いつから」「どのように」問題が起こったかを把握できるよう普段から情報を用い、農場全体、牛1頭1頭をマネジメントすることが作業効率の向上とリスク管理上、大切だとJokeさんは話す。パソコンを操作するガラス張りの事務所からは常に牛舎全体が見渡せる構造になっていた。
飼料に関しては、牧草サイレージと濃厚飼料としてデントコーンや大豆、ジャガイモ、ニンジン、ビールボステル――ビール醸造所で穀物から麦汁を抽出した際の残りかす。プロテインを多く含んでいる――を使用しているそうだ。
CSAR――オランダ穀物生産者団体――は、穀物用トウモロコシの品種別リサーチを行ない、推奨品種とその特徴をリストアップして毎年更新している。それによると、Twiskを含むオランダ西部、北部地域では、サイレージ用トウモロコシに「Shoxx」や「Atrium」といった極早生か早生品種の選択が望ましいそうだ。余談だが、このリストには子実トウモロコシやイアコーンの推奨品種として「Coryphee」や「ES Marco」などの名があった。これらの品種の収穫可分性――穂の落下や硬度不足がないもの――は80~85%で、収穫時の水分量は25~30%、収穫後は16%まで乾燥させる必要があると示されていた。ちなみに、評価した全28品種の平均収量は子実トウモロコシ(16%の水分量)が13t/ha、イアコーン(35%の水分量)は16.8t/haだった。
今回の訪問で最も印象的だったのは、女性であるJokeさんが積極的に経営にかかわっていたことだ。農業以外の職業経験や海外での生活経験から幅広い知識と広い見解を持ち、「どのように農場を大きくしていくか」「社会に貢献する方法は何か」をしっかり考えながら日々、生産者としての業務も勤め上げる魅力的で素敵な女性だった。

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