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実践講座:したたかな農業を目指す経営管理 入るを計り出を制す!

土づくり其ノ三 基盤整備の採算を投資効果で考える

国策頼みの日本の農地改良

 日本の農地改良の歴史は、モンスーン気候、地形、コメづくりの発達などの理由で、他の先進国と大きく異なる。弥生時代に伝来したとされるお米は、水を引き込み、河川下流の平地での栽培が広がった。ところが、国内に平地は少なく、開墾できても山間部が付近にあり急勾配で、大洪水との闘いから、治水・利水も苦労の連続であった。鉄製品が伝来したことと、公地公民制(飛鳥時代)により、国家的な区画整理が行なわれるようになり、農地所有と農地整備は、租税徴収とともに国が監督することとなる。
たとえば、農業土木工事として賞賛される信玄堤は、コンクリートや重機のない時代に甲斐(現在の山梨県)を拠点とする武田信玄が、約20年の歳月と金山からの資金を投じた整備事業である。水田区画と用排水路の整備も並行して行なわれ、施工効果から、武田氏没後も改修が続けられた。現存する信玄堤は、これまでの農地改良の歴史を今なお我々に伝えてくれている。
近代になってからは、明治20年頃より馬耕や牛耕が奨励され、水田の基盤整備は田区改正と呼ばれた。さらに欧米のトラクターの導入が始まった昭和40年代以降は、機械を使った栽培技術体系が開発され、大区画化が進んだ。耕す道具の進化は耕作可能な面積を広げ、作業者を不満にしてきた。どの時代も耕す農具に合わせて、農地の区画を広げ、必要な暗渠を施すなど基盤整備による農地改良をしてきたのだ。
農地の基盤整備は、長い間、食糧の増産と安定確保の面から公共事業として進められ、国策としての奨励・推進に頼ってきたところが大きい。しかし、農地改良を経営改善の投資と考えたとき、収支勘定の合うものでなければならない。投資がきちんと回収できるかどうか。今回は農地改良への投資分析法を紹介し、その採算性について考えていく。

長期・多額な投資への心構え

念願のマイホームを購入したのはいいが、負担が大きく返済が滞り売却してしまう。そんな話を聞いたことはないだろうか。借入期間が長く、金利の支払いが大きいものほど、きちんと将来設計を立てて購入しなければいけない。

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