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この考え方を利用した投資分析法を現在価値法という。貨幣価値の変動を考慮して、投資の安全性、妥当性を判断すると考えよう。今回は変動率(減額幅)を資金調達コストの利息・手数料5%と設定した。
表1では年数が経過するにつれ、利益が現在の価値より低くなることが読み取れる。10年間の合計額を投資額と比較すると、年平均の利益が300万円では差額が317万円だが、400万円の場合は差額がマイナス268万円となり、利益増強か返済期間の見直しが必要と思われる。
基盤整備のような返済期間が長期に及ぶ投資は、この3つの分析法で採算性を多面的に評価することが重要である。なお、それぞれの分析法については、表2にその特徴を示した。参考にしてほしい。
支払う負担金が多くなることが予想されるとき、農地整備費用を節約したいと考えるだろう。しかし、基盤整備は生産効率を高めるために行なう工事であり、頻繁には実施できないものである。正確な負担金額は工事後に示されるため、支払いも待ったなしである。支払期間が長いほど、現価が下がるリスクも大きい。したがって、可能な限り支払期間を短く設定し、並行して利益を増額させる努力が求められる。詳しくは次回の補助金助成の項で触れたい。
経営存続が危うくなり、誰が得をしたのかわからない、そんな基盤整備は御免被りたい。国や地方自治体からの助成があるためか、財布の紐はゆるみやすい。大きな買い物の失敗は取り返しがつかないので、くれぐれも油断なきように。
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齊藤義崇 サイトウヨシタカ
1973年北海道生まれ。栗山町在住。昨年、普及指導員を退職し、実家の農業を2014年から営む。経営は和牛繁殖、施設園芸が主体。普及指導員時代は、主に水稲と農業経営を担当し、農業経営の支援に尽力した。主に農業法人の設立、経営試算ソフト「Hokkaido_Naviシステム」の開発、乾田直播の推進、水田輪作体系の確立などに携わる。
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