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特集

ゼロから始めた面白さ 新規就農者たちの見る農業


家業を継ぐにしても、一度は外の世界で働こうと考えた片岡さんは、20歳で大学校を卒業するとソメノグリーンファームに就職した。同社を選んだ動機は「不純だ」と片岡さんは言う。
「でっかい機械はあるし、広い土地はあるし、メインは稲作だし、勉強するのにちょうどいいと思った。2~3年勉強したら実家に戻り家業を継ごうと思っていた」
「でっかい機械」は片岡さんにとって魅力だった。入社前から実家のトラクターや田植機を乗りこなしていたが、ソメノグリーンファームにある大型の機械は扱ったことがなく、機械好きの片岡さんを引きつけた。それは、大規模な土地利用型農業のソメノグリーンファームにも歓迎されることだった。土地利用型の農業は、規模が大きいほど機械の知識とオペレーション技術が重要になるからだ。
入社2年目でプラウ耕を任された。しかし、片岡さんは自分がプラウをかけた圃場と染野さんがかけた圃場を見比べて、その差に愕然とする。
「なんで自分はあんな風にうまくできないんだろうと思って、腹が立ちました」
このときから、染野さんを質問責めにし、自分でも考えて状況に応じて機械を調整し直したり、トラクターのセッティングを変え、繰り返し試すという日々が始まった。
「プラウ耕を学んだのをきっかけに、一つ扉が開けました」
機械について学ぶようになってから、作物のこともよく観察するようになった。ひとたび学び始めると、取り組むべき課題は尽きない。それが就業意欲にもつながっていると言う。
入社3年目の頃、さらに大きな転機があった。染野さんに連れられて北海道のある大規模農場を視察し、そのスケールと考え方に衝撃を受けたのだ。それからは、本を読み、地域を超えてたくさん人たちに会って話を聞き、ものごとをさまざまな角度から考えるようになった。
名だたる農業経営者たちを知れば知るほど、機械、技術、作物の品質、経営に至るまで、彼らに追いつき追い越したい、仕事をするからにはよいものを作り、地域一番の生産者になりたい、という思いが強まった。自ずと、現状維持でよいとは考えなくなった。

【仕事をすることは学ぶこと
楽をするためじゃない】

そうして外の世界で学んでいるうちに、「2~3年のつもり」が、今年で11年目になる。
この間、農業をやるなら小規模な家業ではなく、北海道や欧米型のような大規模な土地利用型の農業がやりたい、そのほうが自分に合っているという思いを強くしてきた。2012年には同世代の仲間たちとアメリカの農業を視察し、その気持ちはさらに強まった。

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