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しかし、いかに固定資産税を増額しても、問題の本質的な解決にはつながりそうにありません。まず、当該耕作放棄地の所有者が行方不明の場合はどうしようもありません。また、所有者が耕作放棄地を譲渡することにしたとしても、荒れ果てた耕作放棄地を使える農地にするコストを考えると、買受けられる人がかなり限定されるケースがあり得ます。買受人が見つからないことも考えられます。
このような問題を解決するためには、従前よりも、個人の権利より公共の利益(農業という産業の公共性)を重視した政策が不可欠だと思います。具体的には、次の政策が必要となると考えます。
(1)
国・地方公共団体による耕作放棄地の一時的な時効取得制度(譲渡のための時効取得)。
(2)
耕作放棄地を使える農地にする際に公的資金を支出する、もしくは、国や公共団体が主体となって行う。
いずれも、条例・通達といったレベルでの対応は不可能で、農地法の改正を伴う内容ですが、現行法に縛られたままで解決できない以上、大胆な政策転換が必要と考えます。
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戸出健次郎 トデケンジロウ
弁護士
平成12年 学習院大学法学部卒、平成19年 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)、平成22年 悠綜合法律事務所パートナー、平成22年度第一東京弁護士会代議員、専門分野:農業分野(法務、税務)、不動産関連業務。
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