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【田牧一郎のカリフォルニア稲作便り】
天候は上々。カスタムワークをうまく組み合わせながら80haの播種・移植作業を済ませました。
- コメ産業コンサルタント 田牧一郎
- 第2回 1996年06月01日
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アメリカの新しい農業法FAIR(Federal Agriculture Improvement and Reform)も4月4日にクリントン大統領が法案に署名し正式に決まりました。これでコメの作付けも新しい制度のもとで開始できました。この法律について簡単に説明すると次のようになります。
法律の特徴は農産物の保護政策の大きな変更です。コメについてですが、従来の市場に連動した形の生産者に対する所得保障から、今後7年間の生産者に対する所得を固定額で約束してしまうものになりました。
いままでの注産者保護のしかたは、減反による生産調整によって流通量の調整をして市場価格の変動を誘い結果として生産者の所得を確保しつつ、力叛目標額に足りない分を補助金(不足払い金)で補うものでした。その中でもそれぞれの経営者の経営選択の自由を確保する意味で、この制度に参加するか否かの選択をする権利は保障されていました。経営者の意志で減反に参加して国が決めた減反率を達成し補助金を受けるか、減反をせずに作付けし補助金をもらわないかを決めることができました。しかし今回の法改正で減反制度もなくなってしまいました。作付けしたければ自由に耕作してよくなり、作付けをしなくとも補助金がもらえるようになってしまいました。
耕作予定の自作地あるいは借地のいままで水田であった農地に対し、過去に記録されている単位面積当たりの生産量に、今後7年間の補助金支給額(籾約45kgあたりの補助金単価が年毎に決まっている)計画にしたがって支給されます。しかし一農場当たりの受取額の上限は年間4万ドルとなり5万ドルから減額されていますが、一定額がコメの生産の有無にかかわらず生産者に支払われることになります。
そのコメ耕作予定で補助金を受け取り、かつコメ以外の作物を生産することも(一部に制限がありますが)基本的に自由にできることになりました。コメのための補助金を受け取り、麦を作付けすることも可能ですし、その麦の後に豆を作付けすることも可能です。つまりコメ生産者であることに対してその所得を保障し、かつそれぞれの生産者が経営的に採算がとれるのであればコメも含めた農業生産を行なえるし、また何も生産しないこともあり得るわけです。
この補助金の受給資格ですが、誰でもが受けられるわけではありません。過去5年間のうち一度でも政府のコメ補助金プログラムに参加したことのある生産者が資格を持ちます。農地もその補助金プログラムに入っていたものに限られます。しかもこれから7年間、年毎の支払い単価にそって、固定額の支給というきっちりと敷かれたレールの上を進むことになります。生産者から見ると法改正によって補助金の大きな減額あるいは撤廃までされるのではないかと心配していましたので、一息つける状況になったと言えるでしょう。
しかし問題は7年後からです。そんな先の話と思われるかもしれませんが、決しでそうではありません。7年間の補助金支給契約が終了すると、その後には政府の補助金が出ないことになっています。つまり、西暦2003年には補助金なしでの生産ができなければならないわけです。それができないときはコメ生産をやめるときです。
飛行機作業はGPSの導入で
こちらは今年は天候にも恵まれ、順調に作付けを開始することができました。4月の上旬まで雨が降り、本格的にトラクタを入れるのが少し遅れてしまいましたが、月末には種を播き始めることができました。今年、当農場の作付面積は、乾田直播、湛水直播、移植を含め、合計80haになりました。
播種作業は、まずチゼルプラウでの荒起こしから始まります。300馬力のトラクタで、大きな爪を何本もつけた作業機を引っ張ります。この作業機は幅2・5mで、深さ30cmの耕深を確保するように引きます。今年は一回目の作業で浅く起こし土を乾かし、二回目で深く起こしました。
法律の特徴は農産物の保護政策の大きな変更です。コメについてですが、従来の市場に連動した形の生産者に対する所得保障から、今後7年間の生産者に対する所得を固定額で約束してしまうものになりました。
いままでの注産者保護のしかたは、減反による生産調整によって流通量の調整をして市場価格の変動を誘い結果として生産者の所得を確保しつつ、力叛目標額に足りない分を補助金(不足払い金)で補うものでした。その中でもそれぞれの経営者の経営選択の自由を確保する意味で、この制度に参加するか否かの選択をする権利は保障されていました。経営者の意志で減反に参加して国が決めた減反率を達成し補助金を受けるか、減反をせずに作付けし補助金をもらわないかを決めることができました。しかし今回の法改正で減反制度もなくなってしまいました。作付けしたければ自由に耕作してよくなり、作付けをしなくとも補助金がもらえるようになってしまいました。
耕作予定の自作地あるいは借地のいままで水田であった農地に対し、過去に記録されている単位面積当たりの生産量に、今後7年間の補助金支給額(籾約45kgあたりの補助金単価が年毎に決まっている)計画にしたがって支給されます。しかし一農場当たりの受取額の上限は年間4万ドルとなり5万ドルから減額されていますが、一定額がコメの生産の有無にかかわらず生産者に支払われることになります。
そのコメ耕作予定で補助金を受け取り、かつコメ以外の作物を生産することも(一部に制限がありますが)基本的に自由にできることになりました。コメのための補助金を受け取り、麦を作付けすることも可能ですし、その麦の後に豆を作付けすることも可能です。つまりコメ生産者であることに対してその所得を保障し、かつそれぞれの生産者が経営的に採算がとれるのであればコメも含めた農業生産を行なえるし、また何も生産しないこともあり得るわけです。
この補助金の受給資格ですが、誰でもが受けられるわけではありません。過去5年間のうち一度でも政府のコメ補助金プログラムに参加したことのある生産者が資格を持ちます。農地もその補助金プログラムに入っていたものに限られます。しかもこれから7年間、年毎の支払い単価にそって、固定額の支給というきっちりと敷かれたレールの上を進むことになります。生産者から見ると法改正によって補助金の大きな減額あるいは撤廃までされるのではないかと心配していましたので、一息つける状況になったと言えるでしょう。
しかし問題は7年後からです。そんな先の話と思われるかもしれませんが、決しでそうではありません。7年間の補助金支給契約が終了すると、その後には政府の補助金が出ないことになっています。つまり、西暦2003年には補助金なしでの生産ができなければならないわけです。それができないときはコメ生産をやめるときです。
飛行機作業はGPSの導入で
フラッグマンが不要になった
こちらは今年は天候にも恵まれ、順調に作付けを開始することができました。4月の上旬まで雨が降り、本格的にトラクタを入れるのが少し遅れてしまいましたが、月末には種を播き始めることができました。今年、当農場の作付面積は、乾田直播、湛水直播、移植を含め、合計80haになりました。
播種作業は、まずチゼルプラウでの荒起こしから始まります。300馬力のトラクタで、大きな爪を何本もつけた作業機を引っ張ります。この作業機は幅2・5mで、深さ30cmの耕深を確保するように引きます。今年は一回目の作業で浅く起こし土を乾かし、二回目で深く起こしました。
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田牧一郎 タマキイチロウ
コメ産業コンサルタント
1952年福島県生まれ。74年、米カリフォルニア州の国府田農場で1年間実習後、帰国、大規模稲作経営に取り組む。89年、カリフォルニアに渡米、コメ作りを開始する。同時に始めた精米会社で「田牧米」を作り、米国内にとどまらず世界中の良質米市場にブランドを定着させた。現在は、コメを生産しながら、コメ産業コンサルタントとして活躍する。
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