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また、チョウの幼虫が葉の表面に乗って食害するのに対し、ヨトウムシは葉の裏に隠れながら食害する。したがって、目で見つけるのも難しい。
ただ、幼齢から若齢幼虫までの間は、日中に土に潜らず、葉の裏にいることから、外敵に攻撃されやすい。この段階で数多くの若齢幼虫が他の天敵に食べられて個体数を激減させる。とくに葉の裏から外敵の多い地上に落ちることは若齢幼虫にとって恐怖そのものだといえる。クモのように糸を使って簡単に落下しないよう踏ん張るが、不意に落ちてしまうことはある。一方、雨風のないビニールハウス内では、自然の力による地面への落下の危険性が低いため、生き残りやすい。
皮膚の色が黒くなってくると
“夜盗虫”の真価を存分に発揮
ヨトウムシの幼齢幼虫は淡い緑色をしているが、終齢幼虫に近づくにつれて黒っぽくなっていく。やや黒くなってくると、“夜盗虫”の最大の特徴である夜行性に変わる。日中は土の中に潜り、日が暮れるころから作物に上って食い荒らす。夜間は敵があまりいないため、その大きな体で長時間の食事を快適に楽しめる。しかも、若齢幼虫のときとは比べ物にならないほどの量を食べることになる。夜間になればここぞとばかりに葉の上に身を乗り出して縦横無尽に野菜をむさぼり食べる。
防除は防虫ネットか薬剤散布
ヨトウムシの防除方法はたくさんあるが、防虫ネットによる物理的な防除か薬剤散布による化学的な防除が現実的だ。
防虫ネットの場合、成虫は比較的大きいため、ネットの目合いが大きくても問題ない。しかし、コナガやシンムシなど他の害虫も防除するのには最初から目合いの細かいネットを使ったほうが無難だといえる。
一方、薬剤散布の場合は、体の大きな終齢幼虫では効きにくいことから、できる限り発生初期に対処しなければならない。さらに、昼間は土の中に潜ってしまうため、直接薬液を付着させることで効果を発揮させるものは意味をなさない。
目合いの細かい防虫ネットが最も効果的だろうが、生産規模が大きくなると薬剤散布やフェロモントラップに頼らざるを得ないだろう。
たくさんある
レアケースでの防除方法
登録農薬がなかったり、防虫ネット内にヨトウムシが入ってしまって手で捕殺するしかない状況で、それを実行するのに一番適したタイミングは卵の段階とふ化直後になる。卵は葉の裏にあるため、発見が困難だが、ふ化直後のレース状の葉なら見つけられるだろう。この1枚を駆除すれば、数百のヨトウムシを一網打尽にできるのだ。
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小川幸夫 オガワユキオ
大学卒業後に農業機械メーカーへ入るも、自身が思う理想の農業を目指すため、2001年に千葉県柏市の実家の農業を継ぐ。畑は1町5反、うち4反がビニールハウスで年間100品目の野菜を生産している。 20年前まで地元の市場に個選でネギを出荷していたが、ネギの価格が低迷したことを受けて自宅裏に直売所を設け、色々な野菜を作って地元の消費者に販売するようになる。現在は地元の百貨店や高級スーパーにコーナーを構えてもらっての販売のほか、大型直売所や年間200回以上の朝市での販売、また地元レストランをはじめとしたくさんの飲食店に野菜を供給している。
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