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今年の市場相場を読む

輸入品割合は不況で変わったか アスパラガス/ブロッコリー/オクラ/サヤエンドウ

季節的に国産で対応できない品目や輸入品が安いためにシェアを奪えなかった品目などは、この20年間の不況下でどう変わってきたのだろうか。一般的にいえば、社会的に安い商品が求められた時代だったのだから、輸入の割合は高まったと考えられる。加工業務用食材に関してはまさにその通りになったのだが、生鮮品については何と輸入品が減っていくという逆の現象になった。ただし、それは品目によって事情が異なる。種苗や生産技術の革新で輸入を駆逐したものもあれば、意識的な作型の変化の導入で対応したもの、あるいは単に輸入品が敬遠されただけのものもあるなど、さまざまだ。

アスパラガス
不況であっても国産率は向上へ、年間商材としての供給安定化を

【概況】
東京市場におけるアスパラガスの入荷を1993年対2013年で見ると、入荷量で4.4%増えて単価は8%も高くなった。93年にはトップが長野の25%で、次いで米国が16%だった。輸入品は、オーストラリアやタイなどを合わせると33%になる。13年では年明けから春先までのメキシコ産が増加しているが、春から秋までの長期出荷型の佐賀産によって、春の米国産、秋のオーストラリア産が激減した。
【背景】
入荷数量が増えて単価も高くなっているのは、明らかに国産比率が上がっていることを意味する。年間を通じて入荷が平準化し、しかも供給量の厚みが増している。これはひとえに長期出荷型の佐賀や長崎などを合わせて九州産が3割近くのシェアを持ち、夏秋には関東や東北産も増えているためだ。供給が周年化して全体の流通量が増加すると、ちょっとした端境も許されなくなる。いまや輸入品は、国産主体の流通を補完する役回りになりつつある。
【今後の対応】
現在では、アスパラガスが通年販売されていることに誰も疑問を持たない。かつて国産は4月から2カ月程度の季節野菜だった。そこに年明けからのメキシコ産などが初めて輸入販売されたのを契機に、輸入品が国内需要を作り上げ、その需要を国内産地が食っていった結果がいまの現状だ。代表的な緑黄色野菜であり、取り扱いも簡便、年間を通じて小売店に並んでいてリピートが期待できる。それが不況にも勝ったアスパラガスの位置づけだ。

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