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新・農業経営者ルポ

虫の目・顧客の目・地域の目で農業を視る百姓の心意気


小川農園では年間約100品目、昨年は300品種を栽培した。圃場内のあちこちにハチの巣があり、ミツバチの好物であるソバが植えられ、ハウスの奥には自然環境を豊かにするためにハーブを植えている。だが、生物多様性を確保するには不十分だと小川は断言する。
「品種の多様性をいうなら、100品目で1万品種はないと。それに100品目の中身を見ると、アブラナ科やアカザ科、キク科にユリ科などに偏っているのが現状です。イネ科のトウモロコシ、マメ科も栽培したいと思っています。害虫の多様性も増しますが、益虫の多様性も増すので農園全体の自然環境はもっと豊かになります」
この地域での生物多様性の一翼を担う小川農園だが、生態系のバランスを守るためには地域住民の理解と共感が欠かせない。子どもたちから「ハチのおじさん」と慕われる小川は、親子を対象にした野菜づくりの体験農園でもその大切さを伝えている。
「虫がゴシャっといてとてもいい農園なので、昆虫と農業の関係を知って地域の自然環境や生態系を考えるきっかけにしてほしいですね」
取材を終えると日がどっぷり暮れていた。出迎えてくれたミツバチは昼行性のため、巣に戻っている。小川がクマバチの巣作り用に残した枯れ木に見送られ、帰途に就いた。
(文中敬称略)

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