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岡本信一の科学する農業

排水性改善:圃場に水たまりができるのは当たり前?

前回の連載で「新しい技術を導入する前にやるべきこと」として、栽培がうまくいかない要因を挙げた。今回からは、これらのマイナス要因をどのように解決するべきか、解決するための観点を示してみたい。 初回は、「排水が悪い」という土壌管理における最大の問題に焦点を当ててみることにした。
日本は雨の多い国である。したがって、雨の多い年だからといって、農産物の生産がうまくいきませんでしたでは済まされない。ところが、うまく生産できなかった方に現場でその理由を聞くと、「雨さえ降らなければ、うまくいったんですよ」と話すのだ。最近は、集中的に大量の雨が降ることも多くなり、なおさら「あの大雨が来なければ」という思考に陥ることになる。
まず、一般的に行なわれている排水性改善の対策を並べてみる。最もスタンダードな方法は、サブソイラーやプラソイラーをかけることだろう。土壌の耕盤層を破砕し、作土に水が貯まるのを防ぐ効果がある。
この作業の必要性は私も十分に理解しているが、同時に耕盤層をそもそも作らないことも大事なことである。いわゆる縦浸透による排水である。最近では表層を鎮圧して、土壌中に過剰に水分が浸透しない方策も一部では行なわれている。
次に本格的な排水性改善策としては、暗渠施工がある。地域によっては畑作に向かない場所もあり、そのエリアでは暗渠施工は必要不可欠で、水田の乾田化にも必須である。
明渠と呼ばれる、圃場の回りに圃場内に水を流すための溝を掘るのも非常に有効だ。地下水位を下げるために明渠を深めに掘って、地下水の流れを断ってしまうケースもある。
その他にも排水対策にはさまざまな方法があって、読者の皆さんなら、通常考えつく排水性改善の対策は行なっているだろう。圃場の排水に悩まされていて、以上のような対策をしていないのであれば、すぐにでも検討するべきである。

耕起を工夫することでも
圃場の排水性を改善できる

さて、ここからは案外気づいていない排水性改善の考え方について書いてみたい。
「さまざまな排水対策を講じたとしても、集中的な降雨があれば圃場に水たまりができるのは、ある程度は仕方がない」とあきらめている方がいらっしゃる。先に挙げた方法以外にも、見落としていることがないか、一緒に考えてみよう。

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