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海外レポート

米国食農紀行(2)貧困との戦い(続)食料不足の解消に向けて



最終目標は
アントレプレナーの育成

ベティさんたちが学校菜園に取り組んでいるのは単に食料不足を解消するためだけではない。より遠大な目的がある。彼女の同僚で生徒たちの栽培指導に当たるセオドア・コツェルスキーさんは言う。
「僕たちは魚を与えるだけでなく、釣りの仕方を教えていきたい。育てたいのはアントレプレナー(起業家)の精神を持った人々。彼らが将来自立できるようなプログラムにしていきたいと考えています」
この農場で野菜や果物の作り方を学ぶ生徒たちのなかから、将来は農場を経営したいという人たちが出てくるかもしれない。だから、ベティさんらは今後、マーケティングの講習会も始めるつもりだ。また、一連の講習を受けた生徒たちに与える資格制度も創設する予定でいる。その資格については生徒たちが取得することで、農場に就職する際に有利に働くような内容にしたいという。
前回紹介したように、デトロイト市では民間非営利団体、リカバリーパークのような新興の団体が空き地や空き家で都市農業に取り組む動きが強まっている。また、前科者らに料理人や給仕となるための職業訓練の機会を与えるレストラン「Colors」のように、地元で取れた農畜産物を食材として受け入れる店もできつつある。
食に携わるあらゆる分野の人たちが都市農業を盛り上げていけば、学校菜園で農作業に励んでいる生徒たちが働ける場所も増えていくに違いない。そうした農業を機軸にする大きなうねりの只中にデトロイト市はある。

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