ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

紀平真理子のオランダ通信

イシグログループ主催のオランダ施設園芸視察研修(3)

環境保全型農業に取り組む Royal Brinkman社(前編)

近年、CAP(欧州連合共通農業政策)やオランダの農業政策で環境保全型農業への取り組みの重要度が年々増している。施設園芸での排液循環、減農薬、農場で発生した廃棄物の処理方法や二酸化酸素の削減とエネルギーの効率的な利用などがそれに挙げられる。今回は施設園芸での排液循環を取り上げたい。
オランダでは、1990年に排液を殺菌せずに排水したことで水質汚染がまん延した。地下水を飲料水としている同国ではこの問題の意味合いは大きく、農業排液による硝酸態窒素とリン汚染の対策として「培養液を回収し、再処理して循環させなくてはならない」という規制が設けられた。2000年以前は培養液量の約30%を排液とするかけ流し方式で管理されていたが、00年以降は作物によって基準値が異なるものの、培養液を外に排水することは一切禁止された。たとえば、トマトの場合は培養液中のナトリウム濃度が8mmol/L(184ppm)未満の場合を除き、排水は禁止されている。
実際にOECD(経済協力開発機構)のデータによると、オランダの土壌養分の窒素過剰蓄積は年間193・3kg/ha(07~10年の平均値)とまだ十分といえない値ながら、90年の数値から41%下がっている。リンの過剰蓄積量については同11・02 kg/ha(同)で90年から70%減少して規制の効果が見られる。一方、同期間の日本の窒素過剰蓄積は同180・2kg/haとオランダより少ないといっても90年からは増加しており、同じくリンは同49・05 kg/haと削減が求められる値になっている。
さらに、オランダでは14年9月から未処理の排液、地表水内のろ過水の排水が一切認められなくなった。現在は熱殺菌、UV殺菌やオゾン殺菌と炭素フィルターを組み合わせた浄化方法がある。また、過酸化水素もチューブやパイプの洗浄用として利用されている。

関連記事

powered by weblio