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【農・業界】
岩下青果(熊本県阿蘇市)、阿蘇の高冷地から平場に出作り
- 編集部
- 2006年04月01日
規模拡大と周年出荷を目指す
熊本県の阿蘇市の高冷地で9haの夏取りキャベツ生産をする岩下義文氏(45歳)は、後継者の文昭さん(19歳)が就農した昨年より、平場の熊本市内に3haの畑を借地し、通年でのキャベツ出荷体制確立に取り組んでいる。 岩下氏の自宅は阿蘇市波野。その標高600~900mの畑地で夏どりキャベツを作っているが、熊本市内の平場に畑を確保したことで、初夏と冬にも出荷が可能となった。
高冷地の阿蘇山中では、4月下旬から5月上旬にかけて定植し、7月に出荷を始める。夏場で市場での品質評価の高い岩下さんのキャベツは高価格を付けることが多いが、年一回勝負のハイリスク経営となる。
一方、熊本市内の平場の畑では、3月定植の5月末~6月初旬取り、および8~9月にかけて収穫する、2作の作型が行える。阿蘇の高冷地栽培と組み合わせることで、ほぼ通年でキャベツの出荷が行えるようになる。
岩下さんの場合には、南北の地域移動ではなく、標高差を使う比較的近距離で行う出作りである。それでも、市内の畑までは約60km、移動に1時間から1時間半かかる。気象条件の違う圃場間の機械や人員配置、作業段取りが複雑になり、従来以上の作業効率の向上を必要とする。機械装備や労働力も増やす必要がある。すでに同氏は100馬力級の大型トラクタ(ジョンディア)3台を始め、圃場・土壌管理のために多様で豊富な機械装備を整えている。出荷用にも10tをはじめ数台のトラックを所有する。
同氏のキャベツは規格、品質が高く、量がまとまることも含めて市場評価は高い。であればこそ、買い手は、単なる規模拡大ではなく、作期に岩下さんのキャベツが出荷されることを歓迎している。
同氏がこの出作りに取り組んだのは、経営リスクの分散と売上増大という目的とともに、後継者の文昭さんが同農場で働き出したことが大きな理由だ。さらに今年、1haを増反したが、圃場によっては地下休閑耕プラウなどを使った畑作りへの配慮もする。それは借地をした地権者からも好感を持って受け入れられている。
しかし、それは岩下さんが後継者の文昭さんにこそ伝えたい「1反のキャベツをよう作らん人間が、規模拡大などしちゃならん」という同氏の実践を通したキャベツ作りの精神であるようだ。
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