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特集

代かきの呪縛を絶つ

習慣に固執した経営に未来はない――人は、良いとわかっていても取り組まないことがある。経営を預かればこその慎重さといえば聞こえはいい。しかし、それは昔からやってきた経験を踏襲しているだけということではないのか。大型機械による踏圧や、ロータリと代かきハローの作業に慣れそれに依存しきってしまっているために、田が昔とは違う条件になっているかも知れない。漏水田が排水不良田になっているかもしれず、ザル田と思っていたところが実は畦畔から水が漏れ出していただけであるかもしれない。本誌はこれまで、レーザレベラの有効性を指摘し、乾田直播導入の必要性を訴えてきたが、今回はその技術の前提にある「無代かき」の意味を考えてみたい。
無代かきの経営的な意義
そのメリットを最大限生かす作業体系を

 過剰代かきは田の湿田化を進ませる。現在の稲作経営の差し迫った状況を考えれば、代かきを極力控える方向に進むべきであり、その効果を補完する高性能化した作業機を駆使した体系にシフトすべきである。代かきという習慣に縛られていては、経営に発展はない。

 代かきには、漏水防止、圃場の均平、移植床の確保、雑草対策や肥料の混和などいくつもの役割があり、これまで稲作をするうえで、なくてはならない作業として受け止められてきた。

 しかし一方で、「代かきは他人にやらせろ」という言葉もあり、過剰代かきはむしろ生産性を低下させることが農家の知恵として理解されていた。

 農作業の大半が機械化された現在、その言葉はいつにも増して重要な意味を持っている。なぜなら、大型機械の踏圧による硬盤形成、過剰砕土による土の団粒構造の破壊などで多くの田に後天的な湿田化(排水不良)が進んでおり、過剰代かきがそれを促進させているからだ。


【無代かきのメリット・デメリット】

 代をかけばかくほど土は細粒化し、硬盤層を厚くする。スガノ農機 (株)美浦営業所長の齋藤保氏は「コップの中で泥水を撹拌した後そのまま放置すると、細かい土は下に積もる理屈」と説明する。さらに同氏は続ける。

 「土を練らないと土の細粒化が抑制され、団粒化を促進させる。乾いた土を手で軽く握ったときパラパラと砕ける状態は、本来土が持っている姿であり、作物が生育するうえで最適な環境。2年、3年と無代かきを続ければ誰でも土の変化を実感できるはず」

 土を団粒化させるうえで、プラウ耕は無代かきの効果を補完、最大化させる。秋田県大潟村の相馬喜久男氏は次のように話す。

 「プラウで土を反転させるのは、お天道(おてんと)様の力で土を変えるため。下層の土にも陽と空気を当てることで土に細かい亀裂を入れるとともに、土中微生物の環境に変化を与え土の団粒化を促進させる」

 土の団粒化は、土の粒子と粒子の間に隙間を作り、土壌の透・排水性を向上させる。結果、乾きやすい土になり乾土効果が出る。

 本誌執筆陣のひとり農業コンサルタントの関祐二氏は「水田稲作において透・排水性向上が重要なのは、水に含まれる酸素が水と共に下層に行き渡り、土中の好気性菌の活性化を促すため。これによって土の酸化が進み、稲の生育を阻害する硫化水素などガスの発生が抑制される。同時にこの状態は、稲の根へ酸素が十分に供給される環境でもある」と話す。

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