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特集

代かきの呪縛を絶つ

【〝無代かき〞に縛られた経営。圃場条件に合わせた技術の必要知る】

 水稲は移植で 23 ha やっているが、2年前から試験的に湛水直播も1 ha で取り組んでいる。それ以前に、 10 年ほど乾田直播もやったので、無代かきの意義もわかる。でも、今は基本的に代かきをするようにしている。条件を無視した無代かきや乾田直播ではだめということ。

 私が乾田直播に取り組んだのは、北海道では、雪解け後の短い期間に春作業が集中し、移植体系では規模拡大に限界があると感じたため。乾田直播でも移植と同等の収量を上げられる年もあり、数年はうまくいった。代かきや育苗などの手間がいらないうえ、施肥・播種などを同時に行えるアップカット・ロータリシーダの導入で、春作業は大幅に効率化できた。

 でも、今思えば、うまくいっていたのは試験圃場の水もちが良かったため。古い暗渠が効いていなかったこととも関係してたと思う。

 それが、2年くらいやると漏水が激しくなり、水がもたなくなった。どのような対策をしても漏水を止めることができない。それでも、規模拡大が図れる技術だと信じて、乾田直播にこだわり続けた。しかし、思うようにはいかなかった。

 そんな折、研修で海外の大規模農家を訪問した際に向こうの農家に言われた。「水を溜められる圃場でないと乾田直播は向かない。水が抜ける圃場で無理に乾田直播をする必要はない」。考えればわかるはずなのだが、規模拡大には乾田直播じゃなければ駄目だ、という固定観念に縛られ、漏水田という圃場条件を無視していたことに気付いた。これを契機に代かきをする湛水直播に切り替えた。

 以前に比べ春作業で使う機械も大型化し、進化もしたので、作業の負担も軽減された。さらに、レーザーレベラで秋に圃場均平をするようになったことも大きい。過剰な代かきをする必要もなく、作業も簡単に済ませられるようになった。代かきは、土の表面をトロトロになるようにするが、あまり深いところまでトロトロにすると、播種深が深くなるので、その点は気を付ける。

 代かきであれ、無代かきであれ、自然に逆らい、圃場条件を無視してしまうことが問題だ。それに気付き圃場条件を考えてやっていくということが大切なのだと思う。(談)


■北海道妹背牛町
佐藤忠美氏
水稲移植23haで「ほしのゆめ」「きらら397」「七つ星」湛水直播1ha で「ゆきまる」を生産。麦とローテーションを組んで栽培している。

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