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【今年の市場相場を読む】
近県産地の軟弱・強壮野菜が成長・相場の動きから背景さぐる努力を シュンギク・ニラ・小ネギ・ニンニク
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第13回 1996年06月01日
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小ネギ
【概況】
小ネギ(青ネギ)は東日本を中心として過去15年で急速に成長した品目である。平成3年から7年までを見ても数量で20%の入荷増である。単価も平成7年は1000円を割って800円台になっているが、遠隔地のものはそれでも900円台を維持しているし、コストの安い千葉産の水耕物も500円台を確保した。主要産地は、45%を占める福岡を中心として大分、高知が共に土耕で、千葉、静岡が水耕で周年供給体制ができ上かつている。年明け1~2月は低温期で高単価だが、3~4月は年間の中では最も単価は安い。5月ごろから生産も急増するが、それに連動するように消費も活発になってくるために単価が上がり、8月を中心とした薬味の最需要期には単価高になる。
【背景】
小ネギは、作りずらい高温期が最需要期である。その結果、年によっては牛口単価が1300~1500円にもなるために、この時期をターゲットに東北~北海道に新しい産地ができてきている。さらに、小ネギ需要が全国に普及してきていることから各地で地場生産が活発になっていることで、東京など拠点市場からの転送が極端に減っている。東京市場だけをみると、量も単価も“元気のない”状況であるが、全国レベルでは、むしろ小ネギの需要は拡大している点を見逃せない。
【対応】
従来より小ネギの消費が定着していた西日本に較べ、過去15年で消費が増大に向かっている東日本~北日本にはまだまだ小ネギの潜在需要かおる。従来の主産地でも増産の動きかおり、トップの福岡などは今年3割増の計画だが、季節産地を含めて、これからもまだまだ面積拡大の余地がある。
通常の100g結束、袋入りの形状で、遠隔産地なら単価80~100円はほしいところだが、地場産地ものならその半値でも十分にペイする。地方の生産者にあっては、出荷市場の担当者に相談して、生産導入の余地を検討すると面白い。
こうした状況に、既存の大型産地においては従来の販売戦略見直しが必要になっている。需要のキメ細かな発掘などを展開しているが、他の産地にあっては、地場の需要の確実な掌握と発掘を前提として、余剰品を地域外出荷すくるくらいの対策で臨むことが好結果をもたらすだろう。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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