記事閲覧
【今年の市場相場を読む】
近県産地の軟弱・強壮野菜が成長・相場の動きから背景さぐる努力を シュンギク・ニラ・小ネギ・ニンニク
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第13回 1996年06月01日
- この記事をPDFで読む
ニンニク コスト見直しが加われば
国産は品質で勝つ条件が
【概況】
ニンニクの推移で特徴的なのは、過去数年来、中国産の急増で、市場相場を全体的に引き下げていることである。過去数年の推移を見ると、平成5年には東京市場の入荷が8400tに迫り、2年前からすると15%程度の増加となった。平成7年は数年前の水準に戻り、7700tと落ち着いたが、これは輸入品の増加から国産の作付減が響いたためである。また、輸入の影響もあって、従来は11月から4月までの貯蔵物の時期には、500t台の安定した入荷が、新物がスタートする5月から夏場に向かって急増する、というパターンが平準化してきていることも特徴だ。
【背景】
ニンニクは、日本においては補助的な野菜であり、それだけに市場入荷の増減がかなり相場に影響を与える品目でもある。必要絶対量というものが存在し、他に代用がきかないからである。その意味からすると、平成7年レベルでは中国からの輸入が前年より24%増で1万3000t、東京市場への入荷でも1700t、シェアが23%もあるということは、国内産地にとっては由々しき事実であろう。確かに平成7年と平成3年を比べると、入荷量は4%増加の単価は28%も安くなっている。しかし「嗜好品」だと見られていたニンニクが、この10年程度の推移を見てみると、入荷量が3割以上増加している割には平均単価も3割程度安くなっているだけで、入荷増に対し消費も徐々に拡大している。
【対応】
ニンニクの産地の中には、かつてキロ600円、700円で販売できたという「過去の栄光」を捨てて、キ口単価が400円でもペイする生産、出荷体制にシフトしてきている。最初から、キロ400円で十分、という出荷体制さえ整えておけば、品質が不安定なために卸売市場ではキロ150~200円にしか評価されない中国産に十分対抗できると踏んでいるからである。
ニンニクはクセの強い野菜ではあるが、健康食品という一般認識は強い。それが、過去 10年の需要増につながっている。これからは、揚げる、焼くと言った“量を食べさせる”調理法の提案や、大型品種(たとえばアメリカで人気のある絵レフアント・ガーリックなど)の導入など、国産の優位性が発揮できるような生産、出荷、販売体制を考えていくべき品目である。
会員の方はここからログイン

小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)
