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編集長インタビュー

国と民間の新しい協力体制が、ボーダーレスな流通を可能にする

  • 宮崎県産業経済部 食産業・商業振興課 食産業振興専門監 三輪宏子
  • 第18回 2006年02月01日

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昆 そしてその年の7月に宮城の食産業振興専門監として赴任されたのですね。食産業の活性化という大きなテーマに、どこから取り組まれたのですか。

三輪 私は生まれも育ちも宮城ではありません。そこで県内で食に携わる人たちが何に一番困っているのかを知るために、産地や食品メーカーを訪ねました。そうやって分かったのは、宮城の生産者たちは生活に困ってはいないということでした。食べるものは豊富、代々農家が多いので住む家にも困らない。

 困っていることがあるとすれば、利益率の低さでした。生産者がスーパーに商品を卸しても、小売価格の3割から4割近くがスーパーの販売管理費だったりして、極めて薄利な商売を余儀なくされている。新商品を作りたくても、投資をするゆとりもない。販路を拡げたくても物流費を払えない。工場の衛生管理もできない。広告や宣伝なんてとんでもない。そういう状況に置かれている小規模な食品メーカーや生産者が県内事業者のほぼ9割以上という現状に行き当たりました。

 しかし、地域の食産業を活性化するには、この9割以上の企業をなんとかしないといけない。そこから、やらなくてはならないことが見えてきました。

昆 どのようなことですか。

三輪 ひとつは安全・衛生管理の問題です。これらの小規模な食品メーカーのほとんどは工場の品質管理や、衛生管理、廃棄物の管理などが杜撰です。まず、これを改善するために行政の力を借りて、メーカーを何社か集めて講習会を開いたり、改善指導に行ったりしました。

 もう一つは、よくいわれることですが商品の差別化です。昨年6月に大きな開発費の負担が難しいメーカー7社くらい集まってもらって、それらの会社が共通して使える地域のブランドを立ち上げるというプロジェクトを開始しました。宮城県は5年前から「食材王国みやぎ」というスローガンを掲げており、いわば「食材王国みやぎ」のプライベートブランドの創出事業というわけです。宮城県産の枝豆やもち豚など、県産の材料を使いながら、ワンランク上の商品を目指しました。

 少なくとも2~3割くらいの粗利のとれる戦略商品を1品でもいいから持つことで地域の小さなメーカーが誇りをもてればと思っています。出来上がった商品の第1号はみやぎ生協で販売し、まずは県内の消費者の評価をいただく。それから昨年は東京の高島屋でも販売し、高額所得者で目の肥えたお客様からの評価も得て、少しづつですが、自信をつけていただくことになりました。

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