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編集長インタビュー

国と民間の新しい協力体制が、ボーダーレスな流通を可能にする

  • 宮崎県産業経済部 食産業・商業振興課 食産業振興専門監 三輪宏子
  • 第18回 2006年02月01日

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昆 そうした事業に関わる費用は、どこまで補助されるのですか。

三輪 完全な補助ではありません。去年から始めた7メーカーについては、それぞれの会社が1つの商品につき50万円を県に支払っています。行政相手ならなんでもかんでもタダだと思われては困るからです。それでもマーケティングからモニターテスト、デザインワーク、高島屋の販売などすべてセットになって50万というのは超破格だと思います。

昆 全額補助にしないのは、他力本願にならないように生産者側の主体的な意志を育てるためなんですね。
 その後、三輪さんは昨年の11月に県と民間の出資で設立されたFMS綜合研究所の代表になられた。それは、県の支援事業だったものを民間化して継承し、その事業に対して県や市が補助できるようコーディネートするために三輪さんの会社が立ち上がったということですね。


食糧生産から廃棄物処理までをつなぐ一気通貫のモデル

三輪 今お話したのは、ある意味で動脈、つまり食の生産に関わる話でしたが、我々がもう一つ大きく関わっているのは静脈の部分です。具体的には廃棄物ビジネスです。

 廃棄物処理業界は仕事内容や費用面についても、かなり曖昧な面があります。もしゴミを出す側が自分でそれを処理できる仕組みを作れれば、不法投棄などのリスクを減らし、コストを下げることができます。

 そこで我々は、県内に44店舗あるみやぎ生協に対して、生ゴミ、古紙・段ボール、発泡スチロールなどの廃棄物をみやぎ生協が自分で処理する仕組みの立ち上げ、稼働させるためのコンサルティングを行うことになりました。

 我々の会社には行政と民間の協力体制があります。宮城県は交付金申請業務の他、市町村の土地の交渉をしてくれる、また設備機器等については伊藤忠商事はじめ株主各社が関わってくれる。そうした仕組みをフルに活用すると、廃棄物処理のコストを大幅に低減できます。すでに、他県のスーパー・チェーンも興味を示してくれています。

昆 これまでセクショナリズム(部局割拠主義)が邪魔してできなかった部分に、三輪さんが入ってコーディネートすることによって、一気通貫なシステムが可能になったということですね。行政やプロの民間人をからめれば、じつはいろんな可能性があるわけですね。

三輪 よく、ゴミを減らすこととブランド開発がどうして関係あるんですか、と質問されるんです。それはこういうことなんです。9割以上を占める小規模メーカーのほとんどはスーパーとの取引における薄利に悩んでいる。そのスーパーが廃棄物の面で若干でもコストダウンできたら、その分を地域食材を育てる方に還元して欲しいのです。
 すでに大量生産・大量消費の時代ではありません。にもかかわらず、いまだにどのスーパーでも品揃えは画一化しています。スーパーにとっても、目新しい地域食材が売り場に並ぶことは望ましいことのはずなんです。地域食材を育てつつ、スーパーもコストダウンを図る。その両者を一気に解決したいというのが、我々の狙いです。

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