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特集

フルクローラトラクタ、高性能農地を作るカギ

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 2006年02月01日

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本誌創刊号(1993年5月)の「注目機」は(株)諸岡(モロオカ)のゴムクローラトラクタ「KMシリーズ」だった。同機を取り上げたのは以下の理由による。 農業機械化が省力化と効率化をもたらし労働生産性を上げたことは間違いない。しかし、機械走行に伴う土壌踏圧増大の弊害はまだ十分に認識されていなかった。農業技術の本来の目的は、手段として土や作物、あるいは自然の持つ可能性を最大化することである。にもかかわらず、機械化そのものがその可能性を低下させていることに、当時の農業界は鈍感であったのだ。 その意味で、モロオカによるゴムクローラトラクタの開発とその商品化は我が国の農業機械化にとって画期的であり、その取り組みがなければ、現在の改良された国産フルクローラトラクタや、クボタがリードするセミクローラトラクタの登場もあり得なかったと本誌は考える。 そこで、モロオカの技術を継承した国産機種と、ジョンディア、チャレンジャーの海外2大機種を取り上げ、それぞれのユーザー評価を紹介する。加えて、それらすべての機種のヘビーユーザーであるスガノ農機(株)の関係者から聞いた評価をもとに、日本農業におけるフルクローラトラクタの経営的意味を考察する。

メーカー別一押し機種


■三菱ゴムクローラトラクタ「GCR160」(160馬力)

<スペック>
■機体寸法:全長4740×全幅2200mm×全高2690mm
■質量:6050kg
■エンジン:水冷4サイクル6気筒ディーゼルターボ 三菱6D34-TLE2A
■総排気量:5861cc
■出力/回転数:117.7kW,160ps/2200rpm
■クローラ幅:600mm
■クローラ接地長:2460mm
■クローラ平均接地圧:0.20kgf/平方センチメートル
■トランスミッション:無段変速(副変速2段)
■最高速度:21km/h
■油圧揚力:5680kgf

国産140、160馬力のフルクローラトラクタは、三菱のワンメイク。10年ほど前、フルクローラブームを起した(株)諸岡(モロオカ)社の技術を継承し、その後もフルクローラトラクタの開発に力を入れてきた。モロオカ車が更新時期に差し掛かっている現在、そのシェアを獲得すべく「GCR」シリーズに、55~160馬力までの8機種を揃え、ラインナップを充実させている。

■ヤンマー「CT-1001」(98馬力)

<スペック>
■機体寸法:全長3985×全幅2060mm×全高2670mm
■質量:4360kg
■エンジン:立形水冷4サイクルディーゼルエンジン
■総排気量:4412cc
■出力/回転数:72.0kW,98hp/2200rpm
■クローラ幅:550mm
■クローラ接地長:2275mm
■クローラ平均接地圧:0.17kgf/平方センチメートル
■トランスミッション:HST(FDS)、無段
■最高速度:18km/h(前後進)

三菱同様、フルクローラトラクタの開発に力を入れている。日本で発達した駆動方式、2モーター2ポンプ式(2つのモーターのオイル流量を自動調節、左右クローラの回転差をコントロールすることで、直進性を高める技術)を丸ハンドルで制御するFDS(フルタイム・ドライブ・システム)の性能は高く、特に80~100クラスに評価が集まる。この技術は旋回性能にも通じ、大規模稲作経営者を中心にコアユーザーを獲得している。

■AGCOチャレンジャー「MT865」(482hp)

<スペック>
■機体寸法:全長6770×全幅3000mm×全高3650mm
■質量:23350kg
■エンジン:水冷6気筒キャタピラーエンジン
■総排気量:15800cc
■出力/回転数:355kW,482hp/2100rpm
■クローラ幅:700mm(760,900mm)
■クローラ接地長:3000mm
■クローラ平均接地圧:0.5kg/平方センチメートル
■トランスミッション:前進16、後進4
■最高速度:40km/h

もともと米キャタピラー社(CAT)が製造・販売していたが、現在は米AGCO社に譲渡され、AGCOブランドで販売されている。AGCOの国内正規輸入代理店は、エム・エス・ケー農業機械1だが、唯一このトラクタのみ輸入販売権を持っていない。過去、同機種(「45」238馬力)を販売していた新キャタピラー三菱は、CATからAGCOに販売権が移ったことで、国内輸入販売権を失った。現在同社は、チャレンジャーのメンテナンスを希望する既存ユーザーや、新規購入希望者の問い合わせに対応するために、新たに国内輸入代理権獲得に向け動いている。現在購入が可能なのは中古のみで、北海道キャタピラ三菱建機(株)が扱っている。

■ジョンディア「JD-8220T」(190hp)

<スペック>
■機体寸法:全長5257mm×全幅3810mm×全高3122mm
■質量:12500kg
■エンジン:水冷6気筒ターボエンジン
■総排気量:8100cc
■出力/回転数:142kW,190hp/2200rpm※
■クローラ幅:760mm
■トランスミッション:前進16、後進4
■最高速度:31.7km/h
※ジョンディア社ホームページで公表するデータ(PTO馬力)

23hp~500hpまでを揃える世界を代表する米トラクタメーカー。同社のフルクローラトラクタは、欧米で200馬力オーバーの大型ホイールトラクタによる土壌踏圧が農産物の生産に深刻な影響を与えたことを受け、15年ほど前に発表された。全国的な販路を持つヤンマー農機(株)が正規輸入代理店となったのは今から30年ほど前で、ホイールタイプは日本でも馴染みが深い。日本で購入できるフルクローラは、225馬力※の「JD-8220T」のみ。土地集積型の大規模経営者にとって、ジョンディアのような高性能大型トラクタを、正規ルートで入手できるのは、保守・メンテナンスの面から考えてもメリットが大きい。
※ヤンマー農機が公表する資料に基づく

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