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座談会

我らにとっての「土を考える会」(後編)

「北海道土を考える会」(小野寺俊幸会長、事務局=〒071-05・北海道空知郡上富良野町・スガノ農機上富良野営業所内 TEL.0167-45- 3151)は、昭和53年6月に、北海道の有力農業経営者27名が「土と経営」について語り合おうという小さな集まりから始り、今年で創立19年を迎える。現在の会員は北海道のトップ農家と呼ぶにふさわしい農業経営者と協賛企業(40社)など830名の組織に成長し、全道・4支部に分かれて活動している。北海道という地域性はあるにせよ農家自身で運営する組織としては最も優れた研究団体の一つだといって間違いないだろう。
「北海道土を考える会」(小野寺俊幸会長、事務局=〒071-05・北海道空知郡上富良野町・スガノ農機上富良野営業所内 TEL.0167-45- 3151)は、昭和53年6月に、北海道の有力農業経営者27名が「土と経営」について語り合おうという小さな集まりから始り、今年で創立19年を迎える。現在の会員は北海道のトップ農家と呼ぶにふさわしい農業経営者と協賛企業(40社)など830名の組織に成長し、全道・4支部に分かれて活動している。北海道という地域性はあるにせよ農家自身で運営する組織としては最も優れた研究団体の一つだといって間違いないだろう。同会では毎年7月に北海道上富良野町のホワイト農場を中心会場にして講演会と同志交歓会、および協賛農機メーカーの機械展示実演会「北海道農業機械フェア in Kamifurano」をはじめ様々な催しを開催している。同展示会には全道だけでなく府県からも北海道ならではの畑作機械を中心とした機械類の実演の見られる展示会として多数の参観者を集めている。新しい機械情報の収集とともに地域を超えた経営者との出会い、その経営と技術とを学び、勇気を確認し合う同志交歓会が会員の最大のイベントでもある。そこで本誌では、創立19年目を迎えた同会の創立当時からの会員と現会長の小野寺氏を加えて北海道経営者たちに「北海道土を考える会」を通して学んだこと、後を引き継ぐ若手メンバーへの期待を語っていただいた。そこでの話は、たんに同会の若いメンバーたちへの伝言ということだけでなく、全国の農業経営者たちや農業に関わる全ての農業関係者に勇気を与える話題であるはずだ。また、同会の顧問的役割を果たしてきた村井信仁氏(北海道農業機械工業会専務理事)に加わっていただき、司会は長く事務局に携わってきた「土の館」館長である穐吉忠彦氏にお願いした。(平成8年6月6日・札幌市)


本誌 先程食事をしているときに石川さんが、第1回目の会合で勝部農場の面積やその売上を聞いて自分の頭をハタかれるような気がしたと話されていました。人は誰でも社会の中での自分の位置を気にして生きている。しかし、大多数の人々が比較対象にしているのは「平均」と自分との偏差だと思います。自分が平均的地位にいることに安心し、自分より下に誰かがいることで己れの自尊心を保っているようなところがあります。しかし、土を考える会の仲間というのは、常に「最高」を見ようとした。「平均」ではなく「最高」と自分を比べてどれだけ自分が劣っているかを謙虚に見つめ確認しながら、上にそして未来に向かって歩もうとされる。より優れた人がなしえたことにチャレンジする精神。そして、その仲間同士が驚くほどオープンに教え合い学び合う。自立した個性ある者たちが競争の中でこその協同性を持ち続けている。こういう人のつながりというのは農村社会の中では極めて稀なことですが、それがなぜできたのか。

 また、後継者たちに向けての話題ですが、かつて開拓地に入植しか先人たちは今では想像もつかないような苦労の中で開拓を進めてきたわけですが、彼らには夢があった。夢を見る勇気があったのではないかと思います。ここにお集まりの土を考える会のOBメンバーともいえる積年会の方々もすでに入植から二世代や三世代を経ていながらも、そんな未来ヘチャレンジする勇気をお持ちであったと感じます。そういう時代だったのかもしれません。だとしたら現代の若い後継者たちは、開拓者たちの、そしてここにお集まりの会の創立メンバーからその精神をどう受け継ぐべきなのでしょうか。人間というものは喰えるようになると安心してしまい、危機感を失ってしまう。いつか活力のない状態に陥ってしまうものです。今農業が「厳しい」なんていう人たちがいるわけですが、開拓当初のことを考えてみたら天国のような話ではないのか。先代がりっぱな仕事をしていても喰えるようになった今、後継者がその財産を食い潰してしまうということもありはしないか。後継者は自らが先代とは異なる創業者だからこそ後継者だりえるのだともいえます。そうでなければ、後継者とは単なるゴクツブシかよくいって資産管理人であるにすぎなくなってしまうのではないでしょうか。その辺を皆様どんな風にお考えでしょうか。

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