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編集長インタビュー

市場を成長させることで守旧派は相対的に埋没する

日本道路公団の分割民営化が昨年10月1日にスタートした。通行料金の値下げ、45年以内の借金返済、談合の徹底追及による高コスト体質の改善や道路特定財源の一部一般財源化により、改革への道筋が作られた。「次は農業の構造改革だ」という話は、すでに農業界を超えて万人の口の端にのぼっている。道路公団民営化の政策立案に関わり事実を掘り起こしてきた作家の猪瀬直樹氏は、農業をどう見るのか。近著「ゼロ成長の富国論」で、財政赤字、人口減少、労働意欲減退という社会の打開策として農業の可能性を説く氏に話を聞いた。

社会の構造が大きく変わった1970年


昆吉則(「農業経営者」編集長) 1970年は減反が始まり、農業の問題を語る上で象徴的な年でした。

猪瀬直樹(作家) 大阪万博が開催され国鉄が観光客誘致のためにディスカバージャパンを始めましたね

昆 農業関係者はこういう捉え方をしないのですが、関連では、国民栄養調査でこの年を境にエネルギー摂取量が減少しています。欠乏から過剰の時代に入ったのです。

猪瀬 70年代から満ち足りたんですよね。スーパーマーケットの品ぞろえもガラッと変わりましたね。マイカー時代にもなりました。最近では高度経済成長期は1960~75年までの15年間を指すようになってきていますが、実は経済成長の最中に人口減少社会の萌芽がみられました。

 70年には高齢化率が7%を超え、足並みを揃えるように、以前から低下していた合計特殊出生率は70年から先、子供2人を生んで人口水準を維持できないレベルまで低下した。

 核家族だけでなく、夫婦のみ・単独世帯が増え、家族モデルも大きく変わりました。

 数世代に渡って続いた人口減少の勢いを完全に止めることはできません。ゼロ成長でも経済が立ち行くための処方箋を用意しておかなければなりません。


昆 農業も七〇年以降の変化に対応してモデルを変えなければならなかったのに、今に至るまで「作らせてもらえない弱者」としての農民像を引きずってきています。

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