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同伴者たち

産地価格で国際比較をするから日本農業の可能性も見えない!/カルビー(株) 社長 松尾雅彦

国際的な競争に勝てるキーワードは“生鮮的流通システム”


 いま、世界はWTO体制になって、メガコンペティションの時代になりました。農産物も例外でなくなりました。

 幸いなことに、農産物は食生活の原料です。人々は食いだめすることはできません。365日の消費に密着することに、競争優位の活路がある訳です。この活路を、私は、生鮮的流通システムと考えています。

 生鮮的流通システムの特徴は何でしょうか。

 第一に、一次産業、二次産業、そして三次産業が一体になって、共同で事業化をやっている関係にすることです。農業だけ特別扱いして下さいというのではチームワークにはなりません。

 第二のポイントは、ジャスト・イン・タイムという仕事の仕方を身につけることです。略して、JITと呼びますが、昔の大量生産方式にかわって、品質とコストの優位をつくる方式といわれています。

 かつては、機械化して大規模経営が競争優位といわれておりましたが、今は違います。機械化するのは品質を良くするためです。また、タイミングに合った収穫のスピードを得るためです。したがって経営規模にあった機械の活用でなければダメです。高度な機械化は、過剰生産につながりますから、いけないのです。もちろん、ある程度の生産ロッ卜がなければもとより合理化も進まないでしょうが。でも、アメリカの生産規模と競争する必要はないのです。

 さて、国際的競争で価格の優位性をどうやって生むかが問題です。多くの人々の判断の誤りは、産地での農産物価格差に注目することです。消費者の手の届く時の価格と品質で競争していることを忘れています。消費者に届く時で見ると、大半は物流費とロスになります。畑から食卓までの物流費とロスは、間に立っている人の仕事を簡単にすることで大幅に削減されます。この考えが、JITの考え方です。JITは農家と加工業者と流通業者が心をひとつにして取り組まなければ実現しません。ここに日本の農業の本当のチャンスがあります。

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