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【土門「辛」聞】
農業「勝ち組」の条件、大激震をどう生き残れるか
- 土門剛
- 第20回 2006年01月01日
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香港での世界貿易機関(WTO)農業交渉の閣僚会議。焦点となったコメ問題は先送りされ「4月末めどに関税決着」の閣僚宣言を採択した。
畑作や酪農は、低率関税での決着を想定して2007年度から直接支払い導入が本決まりだ。農業大激震が列島を直撃する。それを先取りしてか農業界は、勝ち組、負け組の区分けが急速に進行する。
新年に当たり本誌読者諸兄が、必ずや勝ち組グループにエントリーされることを祈念したい。
年末にセットしたWTO農業交渉と直接支払いの勉強会に、コメ生産者のエース級が多数駆け付けてくれた。専門家を呼んで両テーマについて詳細なレクチャーを受けた後、大激動の農業界について次のような予測を披露した。
「交渉は、上限関税や重要品目で日本側の主張が認められたという状況ではなく、頼みの綱としていたEU(欧州連合)が上限関税や重要品目で米国と手打ちをするなど日本側にとって厳しい局面が続く。交渉の先行きは、極めて不透明だが、決着となれば早くて05年末になるだろう」
香港での閣僚会議では、日本側はコメを例外扱いにしてもらい、その代償措置としてミニマム・アクセス(裁定輸入義務/MA)の増枠につながる提案をあらためて出した。具体的な数字は春に出てくるが、現在約80万tのMA枠の大幅アップは避けられず、最悪の場合は200万tという数字もなくはない。そうなると、農業現場では農協がさらなる減反強要に走るという最悪のシナリオが目に浮かぶ。
畑作や酪農は、低率関税での決着を想定して2007年度から直接支払い導入が本決まりだ。農業大激震が列島を直撃する。それを先取りしてか農業界は、勝ち組、負け組の区分けが急速に進行する。
新年に当たり本誌読者諸兄が、必ずや勝ち組グループにエントリーされることを祈念したい。
コメのエース級が集まった「土門勉強会」
年末にセットしたWTO農業交渉と直接支払いの勉強会に、コメ生産者のエース級が多数駆け付けてくれた。専門家を呼んで両テーマについて詳細なレクチャーを受けた後、大激動の農業界について次のような予測を披露した。
「交渉は、上限関税や重要品目で日本側の主張が認められたという状況ではなく、頼みの綱としていたEU(欧州連合)が上限関税や重要品目で米国と手打ちをするなど日本側にとって厳しい局面が続く。交渉の先行きは、極めて不透明だが、決着となれば早くて05年末になるだろう」
香港での閣僚会議では、日本側はコメを例外扱いにしてもらい、その代償措置としてミニマム・アクセス(裁定輸入義務/MA)の増枠につながる提案をあらためて出した。具体的な数字は春に出てくるが、現在約80万tのMA枠の大幅アップは避けられず、最悪の場合は200万tという数字もなくはない。そうなると、農業現場では農協がさらなる減反強要に走るという最悪のシナリオが目に浮かぶ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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