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耕すということ

石礫除去・表層作土造成法とその意義

厚層処理は一種の混層耕 施工後の処理も決め手


 厚層処理ストーンピッ力の開発は、昭和36年から開始されている。土壌を相手にするだけに、開発費がかさむばかりで遅々として進まなかった。これがなんとか実用化の見通しがついたのは昭和51年のことである。農耕地を開発しよう、石礫を道路建設などの骨材として利用しよう、などの一石二鳥を狙ってのことである。

 50cmの深さに施工できる技術が組み立てられてから、これを実用機に完成させるには、そう時間を要しなかった。昭和52年には自走式として形を整え、早速これが除礫事業に乗せられる。工事費は10a当たり30万円、うち補助金80%で受益者負担は6万円であった。

 30m以上の石段のない作土造成は世界に例を見ないものである。なぜ30cmという深さに拘泥したかといえば、根菜類を作付けする、早魃害を回避するには、30cm以上の作土を必要としたからである。

 石礫圃場も例にもれず、下層土は腐植質に不足し、微量要素も貧しく化学性は劣悪である。石礫を除去する過程で、30cmの作土が造成されるとしても、一種の混層耕であり、生産性を逆に低下させるのではないかと懸念された。根菜類を栽培するについては、吸肥性の強い作物であり、多少化学肥料を多めに施用するだけで問題はないが、豆類については神経質な作物であり、手当てが必要とされた。

 しかし、この対策は難しさを伴なわなかった。混層耕などの事業と同じように石灰とリン酸を投与し、堆厩肥を散布することで、豆類は正常に生育し、施工前よりも多収であることが実証された。

 その後、継続して作物別の生育、収量が調査されたが、いずれも増収、早魃にも耐えて、厚層作土造成の正しかったことが証明されている。「石礫は湧くものである」、「いずれ石礫圃場に戻る」との流言も、気にするには当たらない。20年経過した現在、一回めの実験圃場は、石礫を除去した時のままの状態であり、高い生産性を維持している。

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