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耕すということ

石礫除去・表層作土造成法とその意義

開発望まれる府県向きの厚層処理ストーンピッカ


 わが国は降水量が多いことで知られている。降水量が多いことから稲作も成立し、畑作物も他の国に比較して高位収量であるといえるが、石礫除去事業では、この降水量が負担である。土壌水分が多ければ、土砂の部分に時間が掛かり、それだけ能率が低下してしまうのである。

 とくに雑草や作物の根の多い場所では、土壌水分が多ければ節目に目詰りを防止する、あるいは、目詰りが発生しても簡単に除去できる構造研究が盛んに行われているのが現状である。

 農耕地の減少は各府県の悩みでもある。北海道で開発された各種のストーンピッ力に注目して、農耕地の拡大、あるいは既存耕地の生産性向上を図ろうとしているが、これが遅々として進まない。いわく北海道の機械は大き過ぎるのである。府県の僻地の道路は狭く、ストーンピッカの移動が困難であることはよく理解できることである。

 かといって、府県向きの本格的なストーンピッカを開発するのかと思えば、そうはなっていない。作土処理、それも多くはストーンクラッシャに期待を寄せたりするのが現状である。経費が掛かり過ぎるので簡易に済まそうとしているのである。

 これは、土層・土壌改良を関係者が理解していないためである。たかが石採りと考えてしまうところに問題がある。繰り返すが、石礫除去も土づくりであり、土づくりは一朝一タにしてなるものではなく、土壌を相手にするだけに単純には処理できないものなのである。

 府県の関係者に望みたい。北海道のストーンピッ力が道路の移動が困難であるというのなら、北海道のストーンピッカを参考にして、府県向きの小型の厚層処理ストーンピッ力を開発することである。作土処理は石礫量の少ない既耕地に適用されるべきものであり、本格的に農耕地を拡大する、あるいは土地の生産性を高めたいと思うなら、そこから脱却すべきであり、姑息な手段を弄してはならない。

 行政にも新しい施策を望みたい。これまでのストーンピッ力の開発は、地域の零細企業、ローカルメーカーが取り組んだものである。本来なら大メーカーが取り組むべきものであるが、大メーカーは量産できるものしか相手にしないことから、振り向きもしなかった。大メーカーはこの種の開発が不得手であることから、これからも取り組むことはないであろう。とすると、国がローカルメーカーを支援しない限り、発展はあり得ない。

 新しい石礫除去事業には、ストーンピッカの開発費も含めるべきであり、かつ継続的に行なわれてよい。ローカルメーカーには、蓄積された技術があり、政策的な支援があれば、十分にその期待に応えるであろう。

 府県の石礫除去の相談に与ると、石礫の棄て場所にも窮するのだそうである。それほど土地が狭いことであろうが、一方では公共事業による道路工事などに石礫材が不足しているのだそうである。なんとも矛盾している。縦割行政の悪弊かもしれない。

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