ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

自分の畑は自分で診断する

これなら分かる「土と肥料」の実践講座肥料その4

「耕耘機は糞をしない」この言葉は筆者の恩師、故横井利直先生の残された有名な言葉です。
 「耕耘機は糞をしない」この言葉は筆者の恩師、故横井利直先生の残された有名な言葉です。

 昭和30年代後半の日本は近代化農業の掛け声とともに、それまで味噌も醤油も自家生産していた農村生活に変化が起き、そんなことをしていたら不合理だということで、味噌も醤油もマーケットヘ行って買ってこい、そしてその金は出稼ぎへ行って稼いでこいということになりました。

 この流れは、それまで農村の大事な働き手であった馬や牛も当然、不合理ということになり、耕耘機がその役をひきうけることとなりました。

 家畜と耕耘機の決定的な違いは、糞をするかしないかということです。これまでの近代化農業では、この視点に立って農業機械化を見てくることをしなかったところに問題があったのです。本当の農業近代化は、その根幹である有機物循環をどのような近代的な方法に改めていくかというところにあるのです。農業だから汚くてもよい、臭くてもよいということではないのです。

 幸いにして、各種廃棄物の処理が行政管理上からも難しくなってきて、これらの資源化が急務ということで廃棄物も捨て去って知らぬ顔とはいかなくなってきました。

 しかし、今後たくさんの有機物が堆肥や有機物肥料に姿を変えても、それを農業経営に組み込める経営者は益々減少していくのですから、農業生産の能力があって、その上で有機物を近代的方法で利用できる組織が永続可能な有機物循環を行なえると言えるでしょう。

 さて、肥料の話も回を重ね微量要素について述べることとなりました。

 字の如くほんの少しの量で必要量が間に合うのですが、逆に少し多過ぎてしまうと簡単に過剰症が出るということも念頭において下さい。

 つまり、微量要素とは施用量の巾が大変に狭いということです。

 そして、欠乏症の発生しやすい土壌、その条件、それぞれの微量要素別に発生しやすい作物とその生育時期など、いわゆる傾向が解明されます。

 主要元素であるチッソ、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム、イオウ、鉄以外が微量要素で、これらの特性は皆一様のように思われていますが、それぞれ違った特性を持っています。

 また、微量要素の分析法も従来の方法に較べて相当に精度の高い機器が開発され、このことにより、農産物の味、栄養、健康的価値が再検討されています。

 とくに味との関連は興味深いものがあります。従来は分析に手間がかかり、結果がでるころは手遅れということが多かったのですが、この点の改善は現場での活用がしやすくなったということです。

 しかし、そのような展開は進むにしても、やはり生産現場では人の目で作物を見て、その栄養生理障害を早期に発見し、対処していくことには変わりないことなので、それぞれの元素の欠乏症の見方は身につけるべきです。

関連記事

powered by weblio