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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

乗松精二さん(静岡県磐田郡)の場合

静岡県磐田郡を本拠に、近くは500m、遠くは10km離れた合計25ha(うち5haは休耕)の借地だけで水田作を営む乗松さんは縦浸透重視の水田作りや、チッソ肥料・微量要素の多投、中干しの励行といった近年の水田作の方向性に大きな疑問を抱いている。とくに西南暖地では、違った考え方が必要とも考える。今回はその意見を聞く中から新しい水田の施肥管理の方向も探る。
むやみな多チッソ化や微量要素の多給は無意味


乗松 まず昭和43年秋の休耕の省令の前と後とで、稲作の方向性ががらりと変わったことに気づいておくべきです。それ以前の稲作はいかに多収するかがテーマだったけれど、いまや食味一点張り、神がかり的なコシヒカリ信仰の時代だ。

関 社会背景が変わったわけですね。

乗松 そうです。となると、いまの稲作のテーマはいかに500kgまでに止めるかにある。土の作り方が全然変わる。

関 多収を求めるなら、いかに減水深2cmの合理的な縦浸透をさせるかですね。

乗松 それがいちばん肥料が吸収されて、なおかつ酸素供給量が確保されますからね。しかしいまの鍵は、いかに少ないチッソをうまく吸収させて、収穫のときにいかにチッソを切るか、です。だから土壌が肥え過ぎたらアウト。

関 可吸態チッソ量が多いとだめだと。

乗松 だから、いまは痩せ地の湿田がいい水田なんです。コシヒカリは一代にだいたい3・3~3・5kgのチッソを吸収できるんですが、現在日本の水田では平均8kgぐらいのチッソを投人している。それは縦浸透がある、つまり流亡があるためなんですが、まかり間違うとその大量のチッソが吸収されてしまう。そうすると高タンパク高アミロースの、いまいちばん喜ぱれないコメになってしまう。

関 昔は配合・化成の元肥をどかっと入れて作った施設園芸も、いまは点滴濯漑を使った養液土耕で、作った後の土は増えたものもない減ったものもない、プラマイゼロというやり方へ向かっています。そういう考え方が必要なんですね。

乗松 そのとおりです。“有機栽培”だと言って未熟畜糞なんかを多投する農家がいますが、あれは完全に本来の有機から逸脱してしまっている。「土作り」と言って、意味もなく多チッソ化したり、微量要素を多給したりしている。

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