記事閲覧
【土壌別経営診断うちの土ではどう作る?】
乗松精二さん(静岡県磐田郡)の場合
- 農業コンサルタント 関祐二
- 第7回 1996年08月01日
- この記事をPDFで読む
むやみな多チッソ化や微量要素の多給は無意味
乗松 まず昭和43年秋の休耕の省令の前と後とで、稲作の方向性ががらりと変わったことに気づいておくべきです。それ以前の稲作はいかに多収するかがテーマだったけれど、いまや食味一点張り、神がかり的なコシヒカリ信仰の時代だ。
関 社会背景が変わったわけですね。
乗松 そうです。となると、いまの稲作のテーマはいかに500kgまでに止めるかにある。土の作り方が全然変わる。
関 多収を求めるなら、いかに減水深2cmの合理的な縦浸透をさせるかですね。
乗松 それがいちばん肥料が吸収されて、なおかつ酸素供給量が確保されますからね。しかしいまの鍵は、いかに少ないチッソをうまく吸収させて、収穫のときにいかにチッソを切るか、です。だから土壌が肥え過ぎたらアウト。
関 可吸態チッソ量が多いとだめだと。
乗松 だから、いまは痩せ地の湿田がいい水田なんです。コシヒカリは一代にだいたい3・3~3・5kgのチッソを吸収できるんですが、現在日本の水田では平均8kgぐらいのチッソを投人している。それは縦浸透がある、つまり流亡があるためなんですが、まかり間違うとその大量のチッソが吸収されてしまう。そうすると高タンパク高アミロースの、いまいちばん喜ぱれないコメになってしまう。
関 昔は配合・化成の元肥をどかっと入れて作った施設園芸も、いまは点滴濯漑を使った養液土耕で、作った後の土は増えたものもない減ったものもない、プラマイゼロというやり方へ向かっています。そういう考え方が必要なんですね。
乗松 そのとおりです。“有機栽培”だと言って未熟畜糞なんかを多投する農家がいますが、あれは完全に本来の有機から逸脱してしまっている。「土作り」と言って、意味もなく多チッソ化したり、微量要素を多給したりしている。
会員の方はここからログイン
関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
土壌別経営診断うちの土ではどう作る?
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)