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【編集長インタビュー】
経営視点なき集落営農を担い手として認めるな!
- 農林漁業金融公庫 総裁 髙木勇樹
- 第15回 2005年11月01日
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流通の規制緩和が進んだ今、農地問題が構造改革の最大の壁に
昆吉則(「農業経営者」編集長) ここ数年、農業もようやく産業化の緒につき、木総裁が農水省にいらした時代からは隔世の感がありますが、現在の農業構造改革をどう評価されますか?
髙木勇樹(農林漁業金融公庫総裁) 日本農業にとって、1993年のウルグアイラウンドによる農産物輸入の関税化が大きなインパクトを与えました。コメについては特例措置として、95年から00年までの6年間関税化を免れましたが、この間に国際的枠組みに対応しなければ大変なことになると非常な危機感を持ちました。そこで食管法の廃止や自主流通米入札の値幅制限の撤廃など、流通の規制緩和を徹底してやりました。川下の規制緩和を徹底すれば市場の情報が伝わり構造改革が進むと思ったのです。しかし、川上の構造改革は進みませんでした。これは農地問題が経営者の努力でも乗り越えられない壁になっているためです。自給率は低いのに農地は余っています。が、余っているのではなくミスマッチを起こしているのです。農業に参入したい人はいるのに、利用させるシステムがない。これを早く直さないと経営体が生まれない。構造改革とは自分の能力で乗り越えられないシステムをとっぱらうことであり、これこそが行政の最大の役割です。
昆 今まさに直接支払制度の対象が選定されようとしています。今だ集落営農の必要性が真顔で議論されていることをどうお考えで?
髙木 集落営農は古くから担い手問題を議論すると必ず出てくる話でした。それが現実だから認めろという論理です。それにひきずられたら単なる金のバラマキになってしまいます。受託生産組合の議論もありますが、市場を前提とした経営を無視したものは絶対に認めてはいけない。集落営農もいろいろな形態がありますが、経営の実態をなさないものは認めないというメッセージを明らかにすべきです。
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髙木勇樹 タカギユウキ
農林漁業金融公庫
総裁
昭和18年2月群馬県生まれ。昭和41年3月東京大学法学部卒業後、同年4月農林省入省。畜産局長、官房長、食糧庁長官などを歴任後、平成10年7月から平成13年1月まで農林水産事務次官。農林水産省退官後、株式会社農林中金総合研究所理事長を経て、平成15年10月農林漁業金融公庫総裁に就任し現在に至る。
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