ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

編集長インタビュー

経営視点なき集落営農を担い手として認めるな!

小泉自民党の勝利で政府系金融機関の統廃合が再び話題になっている。2002年の政策金融改革では、2005年度から改革の第二ステップとして民間金融機関の機能回復・強化の状況を見つつ、改革措置を速やかに実施する段階とされている。農林漁業金融公庫はスーパーL資金等の融資を行ってきた、農業経営をよく知る存在であり、民間金融機関の参入だけでなく農業経営者育成についても役割が求められている。農水事務次官時代には「行動するトップ」と呼ばれた髙木勇樹総裁に話をお聞きした。

流通の規制緩和が進んだ今、農地問題が構造改革の最大の壁に


昆吉則(「農業経営者」編集長) ここ数年、農業もようやく産業化の緒につき、木総裁が農水省にいらした時代からは隔世の感がありますが、現在の農業構造改革をどう評価されますか?

髙木勇樹(農林漁業金融公庫総裁) 日本農業にとって、1993年のウルグアイラウンドによる農産物輸入の関税化が大きなインパクトを与えました。コメについては特例措置として、95年から00年までの6年間関税化を免れましたが、この間に国際的枠組みに対応しなければ大変なことになると非常な危機感を持ちました。そこで食管法の廃止や自主流通米入札の値幅制限の撤廃など、流通の規制緩和を徹底してやりました。川下の規制緩和を徹底すれば市場の情報が伝わり構造改革が進むと思ったのです。しかし、川上の構造改革は進みませんでした。これは農地問題が経営者の努力でも乗り越えられない壁になっているためです。自給率は低いのに農地は余っています。が、余っているのではなくミスマッチを起こしているのです。農業に参入したい人はいるのに、利用させるシステムがない。これを早く直さないと経営体が生まれない。構造改革とは自分の能力で乗り越えられないシステムをとっぱらうことであり、これこそが行政の最大の役割です。

昆 今まさに直接支払制度の対象が選定されようとしています。今だ集落営農の必要性が真顔で議論されていることをどうお考えで?

髙木 集落営農は古くから担い手問題を議論すると必ず出てくる話でした。それが現実だから認めろという論理です。それにひきずられたら単なる金のバラマキになってしまいます。受託生産組合の議論もありますが、市場を前提とした経営を無視したものは絶対に認めてはいけない。集落営農もいろいろな形態がありますが、経営の実態をなさないものは認めないというメッセージを明らかにすべきです。

関連記事

powered by weblio