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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

乗松精二さん(静岡県磐田郡)の場合

関 すると、乗松さんは中干しはしないほうがいいと考えられるんですね。

乗松 はい。中干しをしろと言われるのは、多給してしまったチッソをそれ以上吸わせないために、根を痛めつけて、活動をストップさせるためなんですから。

関 僕が思っていたのは、昔ながらの山草を入れて作る方法の場合は、アンモニア態チッソを出すために中干しをしていたんだろうということだったのです。

乗松 東北・北陸ではそうです。気温が低くて有機物の分解が進まず、中干しをしないと地カチッソが出てこない。しかし暖地なら、すでに3月の段階で地カチッソを十分持っているわけです。


発芽時に必要な酸素を保つためにも元肥の量には注意


関 なるほど。それから、今日は酸化還元電位のことについても乗松さんの意見をうかがおうと思っていたんですが。

乗松 そのことで私がまず思うのは、直播のことですね。あれでものすごく引っかかってくるのが発芽率の問題です。ちょっとでも酸欠状態を起こせば、発芽率が数十%落ちますから。昔僕も湛水直播をやったんですが、年によってものすごく発芽率に差が出る。いい年は85%ぐらい、悪い年は40%ぐらいまで落ちた。

関 田面の表層のごく上、剃刀の刃ぐらいの厚さのところはそれほど還元の影響を受けない層ですが、そこからちょっと入れば還元状態になる。その部分の状態は稲の種籾にも影響が出るものですか?

乗松 ものすごく出ます。6時間酸素がまともに来なければもう発芽不良です。とくにコシヒカリなら、あれが発芽するときの酸素必要量っていうのは、稲の中でも圧倒的に高いんです。

関 やはり鍵は田植え前の状態、元肥の量にありそうですね。

乗松 そうです。元肥を減らせば全部解決できる。ところがそんな指導をするところはありませんよね。僕は新しく請け負って始めるとき、聞き取り調査をして、ほとんどの場合「無肥料でやりましょう」って言うんです。十分な地カチッソがあるとわかれば、コシヒカリの場合3年や 5年、元肥は無チッソでいける。

関 いま思ったんですが、畑の場合は土壌溶液の採集と調査というのがものすごくメリットがあるんです。それで、これはいままでやったことがなかったんですが、水田でもできると思うんです。それがわかると、いまおっしゃられたことのすべての裏付けが、数字でとれるはずです。それをやってみようと思うんです。

乗松 ものすごく面白いと思いますよ。私も協力しましょう。

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