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女化通信

土壌鎮圧で発芽を良くする

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第5回 1996年08月01日

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予想外の発芽率で間引きが必要に?


 さて、冬作の麦を収穫した後の鋤き込みはいつもの通りだ。日頃から25cm以上の耕深であるが、スガノから大きなトラクタを借りたので35cmに起こしてもらった。畑の表面は乾燥していてもプラウで深い層の湿度のある土が出てきたのも発芽を良くした原因の一つだろう。その上でパワーハローを2回がけして、施肥をした後に播種をした。

 播種は、ドライブハローにクリーンシーダを組合わせた。せっかく鎮圧したのだから、ドライブハローの作業深は最小限の深さとしたが、播種深さはおおよそ1cm程度に具合よく行なえた。また、当初の想定では発芽率が50~60%とみて、播種間隔5cmの繰り出しローラを選び、発芽後、間引きをしないで10cm間隔で播いたのと同様な株数にする予定だった。

 条間15cmで1畦に4条を播き、畦の幅が60cmになるようにした。収穫は松山のポテカルゴと広洋エンジニアリングの振動式リフターを使うつもりであり、その作業幅を想定した。また畦間は45cm開けて、1行程で2畦、計8条分を播種する作業の形とした(収穫作業上からは畦間はもっと小さくても問題はない)。

 計画では幅10m×200mの圃場で10畦(40条)を播く計算にして、播種粒数16万粒(10a当たり8万粒)。そして発芽率を50~60%として、20aにすると8万~9万6000株(10a当たり4万~4万8000株)が苗立ちする想定をした。しかし、圃場の端がやや変形しており、また作業道にもなるため、実際には9畦(36条)になった。圃場の中間にもトラックが通れる作業道を作るため正確ではないが、おおよそ全体で14万4000粒(10a当たり7万2000粒)の種を播き、想定苗立ち率だと10a当たりで3万6000~4万3000株が出る予定であった。しかし、発芽はほぼ5 間隔にきれいに揃って発芽してしまった。90%以上は発芽している。これは本来喜ぶべきことなのだが、間引きせねばならないのだろうか。

 播種機の装着は写真のようにドライブハローの片側にだけ付いており、作業は前進バック。見かけは余り良くないが、作業には支障はなかった。砕土状態が良いこともあって播種機は極めて正確に働いてくれた。


パワーハローの効用


 高松氏はこれまでも毎作ごとに収穫残漬をプラウで鋤き込んできた。しかし、プラウで麦ワラを完全鋤き込みしても、ロータリハローをかけると爪でワラを掻き出してしまい、播種などの後作業の精度が落ちることを気にしていた。緑肥をプラウで鋤き込んでいる人なども同じ悩みがあるはずだ。

 今回は、麦ワラをプラウで約35cmに鋤き込んだ後、作業幅200cmのパワーハローをジョンディアの66馬力につけて砕土・鎮圧した。写真の通り作業後にはまったくワラの掻き出しがなく、きれいで均平度の高い砕土―鎮圧・整地作業ができた。高松さんの圃場は土の粒子が非常に細かい火山灰土で機械にとっての作業条件はよい。土の乾き具合も良かったがハローを1回通すだけで十分細かい砕上が行なえた。しかし、鎮圧の効果を研究するために我々は2回同じところを歩いた。作業速度が8km位で作業でき、能率は良い。

 このハローをかけた後に土壌硬度計で深さ別の硬度を測ってみると、表層から1・5cm~20cm位までやや堅い土層が形成され、その下は柔らかくなり、更にその下の心土の部分が堅くなっているのが分かった。「少しやりすぎたかな」とも話し合ったが、発芽の状態は報告の通り素晴らしかった。さらに今回の場合、播種後にも高松氏が麦踏みに使っている自作のローラーで鎮圧を行なっており、具合が悪かったら鎮圧を無理強いした我われの責任が大きいことになる。

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