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ライスボードのポジティブ米ニケーション

うまい話にご用心!新食糧法施行後にバッコするこわい人々

「金は払うと言ってんだ。グダグダ言わずに米をよこせ」不意の怒鳴り声にしゃべりかけていた言葉をのみ込んだ。隅に座っていた「顧問」と称する老人のドスの効いた声が突き刺さる。さっきまでの好々爺の姿はなく、真っ黒なサングラスの向こう側から睨みをきかせている。この老人と会うのは二度目だった。最初に会った東京のホテルの喫茶店では、「コンサルタント」の名刺を持つ初老の男と同席していた。「コンサルタント」の男は、米を販売してくれる組織を新潟県の外郭団体に問い合わせ、ライスボードのことを知って電話してきたのだという。その時はもう一人、東南アジアで会社を経営しているという派手なスーツ姿の男がおり、老人はこの男の父親だと紹介されていた。
「金は払うと言ってんだ。グダグダ言わずに米をよこせ」

 不意の怒鳴り声にしゃべりかけていた言葉をのみ込んだ。隅に座っていた「顧問」と称する老人のドスの効いた声が突き刺さる。さっきまでの好々爺の姿はなく、真っ黒なサングラスの向こう側から睨みをきかせている。

 この老人と会うのは二度目だった。最初に会った東京のホテルの喫茶店では、「コンサルタント」の名刺を持つ初老の男と同席していた。「コンサルタント」の男は、米を販売してくれる組織を新潟県の外郭団体に問い合わせ、ライスボードのことを知って電話してきたのだという。その時はもう一人、東南アジアで会社を経営しているという派手なスーツ姿の男がおり、老人はこの男の父親だと紹介されていた。


健康器具販売会社が米を……


 中部地方の某県に本部を置き、全国に健康器具を販売しているある会社で有機栽培米の取り扱いを計画している。「コンサルタント」の男はこの会社で商品開発を手伝っているらしかった。話がどうもうますぎるし、うさん臭い男たちだ。警戒しながら話をしていると、こちらを見透かすように「月に10t(約170俵)は必要になる。安全な有機栽培米はいくらでも買う。おたくは用意できるか」と迫ってくる。

 厳しい米業界である。まとまれば年間約2000俵の商談だ。本当ならばあまりにもおいしすぎる。あやしいと思いながらも米の説明に力が入る。いつしか相手がとてもいい人に思えてくるから不思議だ。


怖いお歴々が虎視耽々と……


 新食糧法の施行前後から業界への新規参入は多様を極めている。ご多分に漏れずライスボードにもさまざまな方面からの接触が相次いだ。百貨店・大手量販店等の流通組織から、酒・薬のディスカウンター。かわったところでは土建業者からの問い合わせもあった。

 「変化はチャンスなり」の言葉どおり変革にビジネスチャンスを求める人は多い。この方々は正規軍だ。だが、チャンスを求めるのは真面目に「米ビジネス」に挑戦する人ばかりとは限らない。「米」を利用して一発稼いでやろうと、実に怖いお歴々が虎視耽々とねらっている。

 今回の健康器具の販売グループもその一つだろう。いわゆるマルチ商法ぎりぎりの手法で健康ふとんを販売していた。地方都市のはずれにプレハブを建て、そこに老人を集めて集団催眠のような状態にして、1セット100万円近いふとんを買わせる。売り抜けたらプレハブごと、ある日突然ドロンとしてしまうやつだ。

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