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田牧一郎のカリフォルニア稲作便り

農業自由化時代に、私のカリフォルニア農業体験が日本のコメ作り、コメ産業に活かせないか。

●カリフォルニア米のマーケット


 カリフォルニアでは毎年籾ペースで約200万t生産しています。これがゴミと籾殻を取り除いて約150万tのコメと副産物として販売されています。

 副産物は米ヌカが約15万t、ほとんどが家畜の餌として販売されその価格は家畜の飼料となる穀物価格に連動して取引されます。

 ブロークンライス(砕米)30万tはほとんど加工用です。最大の購入者はビール業界です。砕米の粒の大きいものはコメ粉となり、さらに加工のためのプロセスを経てコメ食品になります。

 へッドライス(完全粒)110万t(白米)には買い手との規格決定の中で、砕米の混入率が決められるため、いくらか砕米が増減しますが、毎年世界中に販売されています。昨年からは日本もその恒常的な顧客となり、昨年は生産量の20%近い19万t(玄米ベース)の販売となり大きな買い手となりました。日本以外では中東諸国が常に安定して購入し続け、量は極端には増加が見えていませんがヨーロッパ諸国がそれに続き、そして中南米へと輸出がされています。

 しかしなんと言ってもカリフォルニアのコメは国内の消費が大きく毎年の生産量の約70%を加工品も含め消費しています。この量も年々増加しており、特に品質のよい中粒種は他のコメより消費が増加しています。

 これらのマーケッ卜も簡単にできたものではなく、販売業に携わる各社がそれぞれの市場で世界のコメと競争しながらその地位を築いてきたものです。

 世界で消費されるコメの大多数は長粒種であり、その中に中粒種の特徴を出しながら販売量をのばしてきました。オーストラリアの安いコメと競合するアジアのマーケットではコメの味を強調しながら販売しています。


●研究開発が競争力の決め手に


 生産者自身も安定した高品質のコメ栽培のために、自ら研究開発費に拠出をしています。これはカリフォルニア州ビッグスにある育種試験場の新品種開発費と栽培安定のための研究費にあてられています。その効果がカリフォルニアを世界でも有数の単位面積当たりの高収量産地にしました。良質米の研究にも力を入れており市場の要求に限りなく近い成果が出せるよう研究がすすめられています。

 大きな農場になりますと、自ら育種家を雇用し新品種の開発や栽培方法の開発をしています。いままでに有名なのは「国宝ローズ」と「松竹梅 (もち)」を開発した国府田農場や、モチの品種を開発したデービス農場があり、そしていまはカリフォルニア米を一番多く扱っている農協FRCが良質米の研究開発のために専門家を雇用し本格的に研究を始めていると聞いております。

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