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【田牧一郎のカリフォルニア稲作便り】
農業自由化時代に、私のカリフォルニア農業体験が日本のコメ作り、コメ産業に活かせないか。
- コメ産業コンサルタント 田牧一郎
- 第3回 1996年08月01日
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●粗放農業って本当なの?
先般、種播きや除草剤の散布作業をする飛行機にGPSシステムが付けられ、自分の位置を確認しながら作業をすることが増えてきたと紹介しました。
今度はカリフォルニアの水田にGPS搭載の新型コンバインが登場します。
自分の位置を確認できるGPSシステムがなぜコメの収穫に利用できるのかと耳を疑ったのですが、紛れもなくGPSです。
コンバインは自分の位置を確認し、作業をした面積を計算するために使います。そして収穫した籾の量と水分センサーが位置情報と連動して、田んぼの面積当たりの収穫量が瞬時に計算され記録できるます。
これをどのように使うかはそれぞれの自由ですが、手っ取り早く役に立てるには次年度の肥培管理に使うことです。今年あるいは将来には毎年の記録が残せますので、田圃一枚ごとの特性と同時にピンポイントで田圃のどこがどうだったか結果が見えます。生育調査の結果と合わせ管理作業の記録と合わせれば、非常に精密な次年度の栽培計画が立てられることになります。まだ実際には使ってみていないのですが、これがうまく行けば、いままで実習生・研修生諸君が苦労していた坪刈り調査や葉緑素測定調査など細かい調査が楽になるでしょう。その分、機械で得た生育情報の整理・分析が忙しくなりますけどね。
アメリカの農業は大規模粗放だと、私もかつて教科書で学びました。一般的にはばとんどの方の理解ではないでしょうか?
(しかし、「大規模だから粗放」なのではなく、「粗放でもそれに上回るメリットが大規模経営にはある」ということなのでしょう。粗放がよいわけではありませんが、それぞれの許容範囲を越えなければそれでよいのではないでしょうか。)
しかし粗放農業を精度の高い農業へ変えようとする動きは必ずあります。いままでの認識は大きな誤解になりつつあるのが実態です。
ハイテク装置を搭載した機械類が田園に入り、数々のデータを取りながら作業をしていきます。そのデータをもとに栽培者は栽培を行ない、経営者は作付けと販売の計画をマーケッ卜を見ながら決めていきます。もうこうなればとても粗放農業とは呼びません。ハイテク機械類を確実に生産性の向上につなげ、ハイテクを利用した情報収集から経営を決定します。
蛇足ですが、このハーベスターもエアコンと携帯電話の入ったキャビンですので、乗りごこちは勿論快適です。
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田牧一郎 タマキイチロウ
コメ産業コンサルタント
1952年福島県生まれ。74年、米カリフォルニア州の国府田農場で1年間実習後、帰国、大規模稲作経営に取り組む。89年、カリフォルニアに渡米、コメ作りを開始する。同時に始めた精米会社で「田牧米」を作り、米国内にとどまらず世界中の良質米市場にブランドを定着させた。現在は、コメを生産しながら、コメ産業コンサルタントとして活躍する。
田牧一郎のカリフォルニア稲作便り
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