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土門「辛」聞

直接支払いで紐解く9・11衆院選


民主党マニフェストの誤算

 民主党大敗北は、改革政党と標榜しながら、補助金バラマキの「大きな政府」のイメージを与えたことが、財政再建を政治に託した有権者に嫌われてしまったことに尽きる。その補助金バラマキをリードした民主党某代議士のホームページには、選挙で大敗北を喫した今もなお、大きな政府の「証拠」が掲載されている。以下のとおりだ。

 「所得補償制度の創設―補助金行政から所得補償政策へ!」。水田および畑の経営面積に応じて全経営体に支給する。一定規模(集落営農10ha、個別経営4ha、北海道10ha)以上の経営体に割増で支給する。循環経営にも割増で支給し、逆に畑・樹園地については減額で支給する。

 「短期融資制度―生産規制改革の結果発生する過剰米対策」。前年度消費量を超過して生産された過剰米担保の短期融資制度(融資額は市場価格の6割)を創設する。融資対象米は主食用に販売せず、米で返済された場合、全量政府備蓄米とする。

 民主党マニフェストは、「補助金漬け農政から直接支払制への転換」を掲げてきた。直接支払いの対象は、コメ・麦・大豆・雑穀・菜種・飼料作物などの基幹的作物や、中山間地域、環境保全型農業で、民主党は「意欲ある担い手たちが、安心と展望の持てる農業へと転換します」とうたっている。

 直接支払い制度への切り替えは正しいことだ。問題はその中身。民主党案で気になるのは、「全経営体」を支給対象としたことだ。これに対し、先ほどとは別の都市選出代議士は、「政府の統計では、農家は都会の サラリーマン以上に所得がある。農家への直接支払いは、やり方を間違えれば、貧乏人が金持ちに補助金を渡すようなことになってしまう。導入に際して慎重に扱わないと、都市部では有権者の支持が得られなくなる」と批判的だった。しかしながら、皮肉なことに、これまた落選の憂き目を見た。

先ほどの民主党代議士のホームページには、1兆円の根拠もきちんと明示してあった。
 「所得補償制度」が、「総額=415万ha(水田262万ha+普通畑118万ha+樹園地35万ha)×21万円=8千715億円」。「短期融資制度」は、「170万t×(9千600円-3千円/60kg)=1千870億円」。二つの制度をプラスすれば1兆円となる。

 「所得補償制度」だけでシュミレーションすると、10a当たりで2万1千円。受給の最小面積4haでは82万円。10ha規模なら210万円の額になる。

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