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徳永組合長のもともとのルーツは、祖父が明治中期に香川県から網走地区にやってきたという。入植当初の苦労と貧困ぶりは、今でもくっきりと焼き付いているようだ。
「そりゃ、よく覚えていますよ。何でもやったもの。えん麦播きからえんろ播き。それに牛が3頭いたから、学校へ行く前に牛乳を搾って、それを自転車の後ろに積んで集乳所まで持っていったもんだ。冬は山稼ぎをやったよ。山に入って柴を刈ってくるんだ。高校では生徒会長をやったけど、日曜でも遊んだことがなかったね。仕事がたくさんあったもの。今の子供は過保護でダメだよ。おじいちゃん、おばあちゃんは、自分たちの入植当時のことを忘れて孫に甘くてね。自分たちは、辛酸をなめたから、孫子には同じ苦しみを味わわせたくないと思うんだね」
弟子屈町地区の開拓は戦後間もなくのことである。当初、450戸でスタートした。農地は約5000≒徳永組合長の両親も網走から入植してきた。その当時は1戸平均 10ha強だった。それで約半世紀を経て残ったのは110戸だ。今では上戸当たり60ha弱に増えた。開拓当初は、徳永組合長によれば、
「10haで牛の3、4頭もいれば、ちょっと山仕事をプラスすれば何とか喰えたね。戸数が減ったのは、高度成長期に松だとか雑木を売り払って見切りをつけた開拓者も多くいたよ。それで最後に残ったのが、今の組合員だった」という状況だったという。
摩周農協のバックボーンは、不屈の開拓者魂である。それは生産力が、優良農地に恵まれた弟子屈町農協より上回ることで証明されている。酪農を例にとれば、摩周農協の方が上戸当たりの年間搾乳量は70tから80tは多い370t台という。その秘訣は、
「ハンデは山間僻地だけではありません。土も痩せていますからね。入植以来、土作りには精魂を傾けてきたね。畑を守るために輪作体系をしっかり組み、プラウを使って深耕栽培にも心がけてきたよ」という。それでも上の力が劣るので、大豆の場合などは、平場と同じ収量をあげるには上戸で70haぐらいの規模が必要になるというのだ。
開拓農民は、何事も自分で仕事を片付けなければ生きてはゆけない。農協が中心となって機械を有効利用することも、その一つだ。蕎麦の収穫も、小麦用に購入したコンバインにアタッチメントを取り替えるだけで、機械の稼働率を高めることにした。それでメロンや芋までを収穫する。それで年間売上げを7000万円もある組合員もいるという。
農協の主産物は、酪農、馬鈴薯、ビート、小麦、蕎麦だ。それに最近は白菜や大根がレパートリーに加わった。メインの牛乳など畜産物は21億6700万円。ビートなど馬鈴薯など農産物は4億5000万円だ。販売合計で26億7000万円になる。貯金は23億2000万円。正・准組合員含めて上戸当たり1000万円になる。職員はパート4人を含めて29人。道内の他地域より少ない人数である。これでガソリンスタンドまで経営している。
「そりゃ、よく覚えていますよ。何でもやったもの。えん麦播きからえんろ播き。それに牛が3頭いたから、学校へ行く前に牛乳を搾って、それを自転車の後ろに積んで集乳所まで持っていったもんだ。冬は山稼ぎをやったよ。山に入って柴を刈ってくるんだ。高校では生徒会長をやったけど、日曜でも遊んだことがなかったね。仕事がたくさんあったもの。今の子供は過保護でダメだよ。おじいちゃん、おばあちゃんは、自分たちの入植当時のことを忘れて孫に甘くてね。自分たちは、辛酸をなめたから、孫子には同じ苦しみを味わわせたくないと思うんだね」
弟子屈町地区の開拓は戦後間もなくのことである。当初、450戸でスタートした。農地は約5000≒徳永組合長の両親も網走から入植してきた。その当時は1戸平均 10ha強だった。それで約半世紀を経て残ったのは110戸だ。今では上戸当たり60ha弱に増えた。開拓当初は、徳永組合長によれば、
「10haで牛の3、4頭もいれば、ちょっと山仕事をプラスすれば何とか喰えたね。戸数が減ったのは、高度成長期に松だとか雑木を売り払って見切りをつけた開拓者も多くいたよ。それで最後に残ったのが、今の組合員だった」という状況だったという。
負債整理にも開拓者魂
摩周農協のバックボーンは、不屈の開拓者魂である。それは生産力が、優良農地に恵まれた弟子屈町農協より上回ることで証明されている。酪農を例にとれば、摩周農協の方が上戸当たりの年間搾乳量は70tから80tは多い370t台という。その秘訣は、
「ハンデは山間僻地だけではありません。土も痩せていますからね。入植以来、土作りには精魂を傾けてきたね。畑を守るために輪作体系をしっかり組み、プラウを使って深耕栽培にも心がけてきたよ」という。それでも上の力が劣るので、大豆の場合などは、平場と同じ収量をあげるには上戸で70haぐらいの規模が必要になるというのだ。
開拓農民は、何事も自分で仕事を片付けなければ生きてはゆけない。農協が中心となって機械を有効利用することも、その一つだ。蕎麦の収穫も、小麦用に購入したコンバインにアタッチメントを取り替えるだけで、機械の稼働率を高めることにした。それでメロンや芋までを収穫する。それで年間売上げを7000万円もある組合員もいるという。
農協の主産物は、酪農、馬鈴薯、ビート、小麦、蕎麦だ。それに最近は白菜や大根がレパートリーに加わった。メインの牛乳など畜産物は21億6700万円。ビートなど馬鈴薯など農産物は4億5000万円だ。販売合計で26億7000万円になる。貯金は23億2000万円。正・准組合員含めて上戸当たり1000万円になる。職員はパート4人を含めて29人。道内の他地域より少ない人数である。これでガソリンスタンドまで経営している。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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