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1ドル112.2円から・・・郵政民営化法案が参議院で否決された瞬間の為替相場

8月8日午後、郵政民営化法案が参議院本会議で否決された。その直後、為替相場は1ドル112.2円から112.5円に円が下落した。これでは衆議院の解散が決まったらもっと円安になるのか……と思っていた。しかしその後円はすぐに戻り、次の日からは逆に円高になった。
郵政民営化法案が参議院で否決された瞬間の為替相場

1ドル112.2円から…


 8月8日午後、郵政民営化法案が参議院本会議で否決された。その直後、為替相場は1ドル112.2円から112.5円に円が下落した。これでは衆議院の解散が決まったらもっと円安になるのか……と思っていた。しかしその後円はすぐに戻り、次の日からは逆に円高になった。

 もちろん、為替には郵政民営化以外の要因もいくつか影響を与えている。例えば、9日には国際通貨基金(IMF)が2005年度の日本の経済成長率を上方修正しており、これが円を買う動きにもつながっている。しかし、郵政民営化法案が最も大きな要因と考えられていたのだ。世論調査やインターネットでの掲示板を見ても、解散は好感を持って受け入れられているように感じる。

 なぜか。郵政民営化問題の他にもっと考えなくてはいけない問題がある、今解散している場合ではないという意見もテレビではちらほら聞かれるが、やっぱり郵政民営化問題は大きな問題である。それは、財政投融資の問題があるからだ。ところが、そのあたりの話はテレビではほとんどクローズアップされない。もっぱら、反対派の動向や人数読みに終始してきた。そして、反対派も政策の中身に反対している人と地元に配慮して反対している人が入り混じっている。解散、選挙はそのあたりの事情をわかりやすくしてくれる。郵政民営化問題は結局、大きな政府を目指すべきかそれとも小さな政府を目指すべきか、というわかりやすい論点を国民に明示した。その点で自民党の執行部はウマイ。

 農業界でもそろそろわかりやすい論点を明示することが大事だろう。

 10年前から、経済学のキーワードのひとつとして、「インセンティブ(incentive)」という考え方が出てきている。インセンティブとは「ある人の意欲を引き出すために、外部から与える刺激」である。農業の世界でも契約取引を行う場合に、基本価格に収穫物の品質による価格を分けて品質向上のインセンティブにすることがある。

 これからの農業は、保証でなくインセンティブで動かさなければ伸びない。インセンティブを考える際に少なくてもはっきりさせておかなくてはいけないことが2点ある。1つは、到達しなくてはいけない目標、もう1つはその目標に対してどこまで役割を果たせるかの計測だ。

 農業の、特に政策面に欠けているのはこの点だ。目標は最も根本的な問題の裏返しだ。それは何か。農地?技術?所得?人?現象と原因は分けなくてはいけない。最も根本的な原因は、シンプルなはずだ。

(松田恭子)

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