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特集

セミクローラトラクタ人気の秘密


■クボタ・パワクロの開発前史

 セミクローラ市場をリードするクボタのパワクロ開発の経緯を紹介しよう。

 同社がパワクロを本格的商品化したのは1997年。北海道と新潟の湿田地域でのトラクタ作業実現を目的とするものだった。しかし、この開発は93年から始まっていた。当時、北海道の稲作では、後輪を鉄車輪に付け替えて代かきをするというのが標準作業だった。一方、規模の小さな府県の湿田地帯では、トラクタ後輪に補助車輪を付けて作業をするケースが多く、それができない圃場では耕うん機・ティラーによる作業を余儀なくされていた。

 早くからトラクタ体系が前提であった北海道では、鉄車輪利用が一般的であったが、湿田地域での耕うん・代かきには困難が多かった。トラクタでは作業不能の湿田だけでなく、鉄車輪に交換する手間や圃場間移動にも問題が多かった。それだけに、(株)諸岡のゴムクローラを装備したフルクローラトラクタの登場は歓迎された。しかし、ゴムクローラ装備の建機・運搬機メーカーである諸岡の機械は、クローラトラクタ農業のきっかけを作ったものの、その後に登場したヤンマー農機(株)の丸ハンドルの本格的農用フルクローラトラクタの登場によって撤退を余儀なくされた。ヤンマーによるフルクローラ開発は、トラクタメーカー各社に同タイプの開発を促し、水田地域を中心に普及が広がっていった。最近では10馬力クラスのフルクローラが井関農機から販売されている。

 作業機においても、スガノ農機(株)によるレーザーレベラや陸曳きプラウなどの作業機類が、こうしたフルクローラトラクタの登場を前提として普及した。さらに、畑作や転作畑での踏圧増大がもたらす排水不良を原因とした栽培不安定化が問題視される中で、接地圧の小さなクローラトラクタはそのけん引力の大きさを含めて支持を受け、現在のフルクローラ市場が形成されたのだ。

 こうしてフルクローラトラクタの開発・普及が進む中で、クボタは既存のホイールトラクタをベースマシンとして、後輪だけをゴムクローラとするパワクロの開発を進めていた。それは日本型トラクタの優れた水田性能を生かすと同時に、ゼロから本格的フルクローラを開発した場合のコストの大きさを考えてのことだった。

 それまでにも後輪を取り外し、クローラに付けかえるだけの改造は国内外に例があった。しかし、同社はまったく新しいクローラ形状と支持機構およびフレーム構造を持つセミクローラトラクタの開発を目指した。

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