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【今年の市場相場を読む】
業務用品目を家庭用に普及一般産地でもできる創意工夫 エシャレット・ヤマトイモ・サラダ菜・サニーレタス
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第14回 1996年08月01日
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エシャレット 特殊品目だが男性に知名度 スタミナ野菜としてPRを
【概況】
エシャレットは、本来は特殊な西洋野菜であるが、むしろ和食材料として定着し、周年にわたる需要がある。過去5年の推移をみるとやや減少傾向にあり、単価も一割程度安くなっているが、それでも900円近い単価の野菜であるのだから、有利な販売ができている。東京市場では、静岡産と茨城産で9割以上のシェアがあり、ほぼ周年を通して同様の傾向にある。本来は洋野菜であるために、レストラン需要を中心として東京市場においても、輸入品が年間30t程度入荷しているが、これは和食材料とはまた違った、本場の野菜として使われる需要だ。
年間通じて入荷しているものの、3月から6月期にとくに入荷が増える。これはいわゆるラッキョウの収穫、販売時期と重なるためで、季節産地の入荷分。
【背景】
エシャレットの使われる最もポピュラーな場面は、料理屋での「突き出し」である。きれいに切れ目が入れられ、モロ味噌が添えられている。見た目も楽しむツマ的な使われ方だが、その辛味が酒によく調和するため、一般には、その名前も知らないが知らずに食べているという野菜だ。入荷の多い時期(春)に、旬の野菜といった性格づけでスーパーでも販売されているが全体的には業務用の野菜の位置にとどまっている。夏場から秋にかけて高くなるのが最近の特徴だが、いわゆるスタミナ野菜的な支持があるからだろう。
【対応】
エシャレットの産地が限定されているのは、いわゆる促成野菜的な特殊な技術が要求されているからだ。ツマ物的なきれいな仕上がりが、市場価格を決める。手間もかかるし、技術が必要だとなれば多くの野菜産地は敬遠するが、それはいわゆるツマ野菜、という先入観があるからである。つまり、特殊な野菜のために、一般には売れないと思われている。
しかし、この野菜が一般性がないと思われているのは、家庭でいえば買い物に行く主婦は知らないが、買い物をしない亭主は知っている、という状況による。これと同様だったのが谷中ショウガだが、谷中の場合は、一般消費が浸透しつつある。エシャレットも、店頭での消費提案をすれば、すぐ一定の普及が見込める品目なのである。地場を狙った市場開拓がポイントだ。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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